ロックのことば 第10回 BaBa O'Riley | mizuochi understanding

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ロックンロールバンドのブログです。

こんにちは。

ロックのことば、第10回の記念に

またまたピートタウンゼントに登場願いましょう。

The Whoは超有名な名曲「マイジェネレーション」で

「年取る前に死にたいぜ!」と歌い

その後、彼ら自身が歳を取り

その答えとして書いた曲であると思います。

今回もピートの崇高な詩の世界が繰り広げられ

ティーンエイジャーの心情描写から一歩進んだ世界を描いています。





Baba O'Riley
(Pete Townshend)

Out here in the fields
I fight for my meals
I get my back into my living
I don't need to fight
To prove I'm right
I don't need to be forgiven

Don't cry
Don't raise your eye
It's only teenage wasteland

Sally, take my hand
Travel south 'cross land
Put out the fire
Don't look past my shoulder
The Exodus is here
The happy ones are near
Let's get together
Before we get much older

Teenage wasteland
It's only teenage wasteland
Teenage wasteland
Oh, yeah
Teenage wasteland
They're all wasted!


ババオライリィ

ここから外へ出て
喰うために戦う
生きるために努力するんだ
正しいと証明するために
戦いたいわけじゃなく
許されたいわけでもない

泣くな
目を上げるな
十代はただの荒地に過ぎない

サリー、僕の手をとって
陸を渡り、南へ旅立とう
火を消して
僕の肩越しに過去は見るな
モーゼのように脱出するときはここに
幸せなやつらは近くにいる
さあ一緒に行こう
僕たちが年老いてしまう前に

十代は荒地
十代はただの荒地だ
十代は荒地
そうだ
十代は荒地
みんな荒れ果てている

(翻訳 mizuochi)

どうですか、この詩。
マイジェネレーションで十代賛歌を高らかに歌い上げたバンドが、時間の経過から

十代は荒地

と言ってのけるこの心意気。
これを成長と言うんでしょうか、ただ、アーティストとして、同じ場所で留まっていない辺りがピートの凄さであり、長く第一線で居続ける要因でしょう。

曲はと言うと、シンセサイザーのループからスタートして、多くのロックファンを驚かし、ザ フーはテクノに手を出したか?と思わせつつ、圧巻のドラムが入って雄大な世界観を語るこの曲は、もはやタイトルにあるインドの伝道師ミハーババの教えなのか?と勘ぐってしまうほどのお言葉に聞こえます。
うーん、深い。
深いながら、手を延ばせば届く様な気がするピートの詩の世界。
やはり、凄いとしか言えません。

ただ、この詞を理解する上でキーワードになるポイントは
Teenage wasteland
です。
単純に「十代の荒れ地」とすると何の事かわかりませんが
マイジェネレーションを聞いて来た者にとっては
時間の経過と繋がりを理解する事でハッとするのではないでしょうか。

細かな事を調べ出すとTSエリオットの作品「waste land(荒れ地)」を
ヒントにしているとか、インド哲学が底辺にあるとか言いますが
過ぎ去った十代なんかは、悩み、もがき、苦しんでも
所詮何も生まれなかった。
そんなものだと言っていると理解する事で
この歌のイメージはつかめると思います。

この時26歳のピートはこの様に申していますが
面白い事に30代になり、40代になり、50を超えて60歳でも演奏している
自分の事はこの時はまだ分かっていないもので
その時々での自分というものを考えるヒントとして
聞く者にも訴えるモノがあるのでしょう。