僕は秋が嫌いです。
なんだか無性に寂しくなるのが怖いのです。
でも、季節でこれほど特別な感情を抱くのも秋だけです。
第12回 The Kinks

またもや1960年代、ブリティッシュインベンションのバンドです。
TheWhoの巻で書きましたが、英国3大詩人のひとりレイ・デイビス(写真中央の座ってる人)
のバンドで、弟のデイブがリードギターを弾いています。
キンクスで一般的な情報は、「ユーリアリーガットミー」でしょう。
ヴァンヘイレンのデビュー曲です。
それが元で
ヘビーメタルの元祖とかハードロックの生みの親とか言われる事もあります。
でもそのイメージは少し違うと思います。
確かにパワーコードの組み合わせで刻むリフは、元祖と言ってもいいかも知れませんが
デビュー曲が「ルイ・ルイ」なんで、発明というより必然かも知れないです。
それよりも変則コードワーク、サイケ、フォーク、組曲からロックオペラと
才能豊かな作品の数々が全てキンクスらしい事の方がスゴイと思います。
さらに、レイ・デイビスという人は驚く程気難しいへそ曲がりです。
それだけでなく、どうやら感情のコントロールが上手くできないようです。
僕も直接会った訳でないのでエピソードからのイメージですが、
(弟とは頻繁に激しいケンカをしてる、誰とも仲良く出来ない、いつまでも根に持っている、
キチンとお礼が言えないetc.)
バンド名のKinkとは、そのままひねくれ者とか変わっているなどの意味。
本人は嫌っていたようですが、ドンピシャのネーミングです。
曲にもその辺はよく反映されていて、一癖あるヒネリの効いた作品が多いです。
しかしレイの書く世界は、確実にまぎれもないイギリスの労働者階級賛歌であり
最もイギリス的なミュージシャンだと思います。
皮肉たっぷりの作品もさることながら、彼らの最大のヒットナンバーは67年の「Waterloo Sunset」。
{汚れた川に映る夜の街、忙しそうな人、、、友達なんかいらない、ウォータールーの夕陽を見いているだけで僕はパラダイス}
美しい曲と完成された詩。
名曲は数多くあれど、1960年代イギリスのロックで最高に美しい曲だと思います。
この季節に窓からぼんやり眺める景色を美しいと思う気持ち。
ひねくれ者が書いた最高傑作です。
是非、一度お聞き下さい。