№202.H31.4.10投稿
「 知らないことは怖いこと 」
 
私が震災の語り部を始めてから
今年で7年目を迎えます
 
時々 語り部を聴いたことが無い人から 
「 もう慣れたものでしょうね 」
「 立て板に水で するする話せるでしょう 」
そのように言葉をかけられることが増えました
 
当時 目の前で起きたことをそのまま話すので
台本も 筋書きもありません
向かい合って座ってくださった皆さんに
只々 当時に戻って精一杯話そうとするので
言葉に詰まったり 
突然思い出した当時の出来事に戸惑い
話している途中に空白が開いてしまうこともあります
 
私はいまだに
震災直後の背景の中にいるのかもしれません
 
話す前の緊張を
震災の現実が打ち消しているから
皆さんにお話しできるのでしょう
震災の話をすることは 未だに恐ろしいのです
 
かと言って
その恐ろしい思いを共有して欲しいとは思いませんし
悲しい思いも 辛かった思いも 苦しいことも
そして 深すぎる痛みも
皆さんに慰めて欲しいとは思いません
 
これは 震災前に
命を守るための備えが出来ていなかった
私自身が向き合うべきものなのです
 
震災の悲しみ・苦しみ・痛み・辛さを見聞きし
ご自分のものにして
悪戯に苦しまないでください
重要なのはそこではないのです
 
命を守るための備えや
死なない・死なせないための備えをするためには
本当に起きたことを知ることなのです
震災で 何があったかを知ることなのです
 
被災して家族を亡くした人の可哀想な話だったね
聞くのもつらい話だったね
被災した人は苦しいんだね
聞いていて涙が止まらなかったわ
 
そこで 終わってしまうのであれば
ただの同情なのです
 
寄り添ってくださるお気持ちに
癒されると同時に いつも不安なのです
 
優しいお気持ちがいくら有難くても
重要なのはそこではないのです  
 
この先 災害から命を守りたいのであれば
大切な人と ずっと一緒に生きたいのであれば
聴くことや現実に触れることが苦しくても
同情ではなく関心をもって接してほしいのです
 
語り部をさせて頂く際
「 知らないことは怖いこと 」を表題としています
 
震災の話はトラウマになると恐れる人がいますが
実際の災害を目の前にしたとき 初めて
そんな次元ではなかったことに気づいても遅いのです
 
知らないことは本当に恐ろしいのです
知らせないことはもっと恐ろしい結果を生むのです
 
私はそれを知ってしまったからお話しするのです
皆さんは どうでしょうか
 

出来ましたら
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#語り部佐藤麻紀