№199.H31.3.12投稿 
 
「 夜の間に 」
 
昨日は 津波で祖母が亡くなった日
そして今日は 母が津波で亡くなった日
 
あの日 
祖母と母がいた雄勝病院が
津波に襲われた様子を
 
いったい何百回 何千回 何万回 想像しただろうか
母と祖母の最後の姿を知らない私は
その想像の中の母と祖母ですら手放せないでいる
その思念を振り払おうとも思わない
 
遺体安置所で再会した祖母
体育館の床一面に横たえられた亡くなった人たち
その中に横たえられて
 
苦しかったでしょう
怖かったでしょう
寒かったでしょう
痛かったでしょう
辛かったでしょう
悲しかったでしょう
病院の3階に津波が来るなんて
思わなかったでしょう
 
遺体の取り違えで 遺骨となって戻ってきた母
ドラマで見るような白い布がまかれた箱に入れられ
再会したのは警察署のデスクの上
 
まだ私は あの箱の中身が母だとは思えない
骨壺を開けて 私のてのひらに載せられた骨が
大好きな母だとは思えない
 
私の母は
笑いかけてくれて
話しかけてくれて
叱ってくれて
心配してくれて
自分のことより私達を大切にしてくれて
一緒にご飯を食べて
テレビを見て大笑いして
 
こんな 白くて小さな塊ではないのだから
 
昨夜 疲れてこたつで寝てしまった
ふと 目が覚めると
警察署で見せてもらった検案書に書かれた
母の亡くなった推定時間
 
もう 何度もそんなことがあるものだから
不意打ちにも慣れなければいけない
そうだな そうだな と
意味もなく 心を胸に落とし込む
心が胸になじんでいくまで
目をつむったまま起きている
 
夜の間に 喪われた命
夜の間に 生きている私
 
毎日 亡くなった母と祖母と生きる私
 
どんなことがあっても
生きて再会できていたなら
 
本当に ただ それだけが願い
もう かなえられない願い
 
間に合うなら 早くした方がいい
あなたが 喪いたくない人と話した方がいい
 
こんな後悔は
人間が生きていくうえで必要のないものだから
してはいけない想いだから
 
 
出来ましたら
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#語り部佐藤麻紀