「 解ったつもり 」について 

 
私は大きな失敗をしています...
あんなに祖母が津波の話を教えてくれていたのに
 
「 うんうん もうわがってから 」
「 もう何百回も聞かせらいでっから 」と
祖母が体験した津波の話を
すっかり解りきっているつもりでいました 
 
何べん話しても
祖母が思い立つたびに津波の話を繰り返したのは
災害を体験していない私が
解ったつもりだということを見抜いていたんですね 
 
震災前の私が言っていた「 わかってる 」は
こちらの「 分かっている 」
震災後の私が使うのは「 解った 」です
 
震災前の私は
祖母の話している話の流れを知っているだけでした
震災後の私は 
祖母が語っていた津波の恐ろしさを知りました 
 
災害の話の怖いところは
何度も目にして 何度も耳にすると
解ったような気になってしまうところです
 
自分が体験していない災害を
さも体験したような気になって
「 被災体験のある家族から
当時のことを聞いている私は災害を知っている 」
という錯覚を起こしてしまうのかもしれません
 
確かに私も 祖母に聞かせられた津波の話から
山に逃げることが当たり前だと思っていましたが
もっとしっかり自分から学んでいれば 
母と祖母を助けることが出来たのかもしれません
 
事前に家族と防災減災の話を共有することで
自分の「解ったつもり」という驕りを
見付けることが出来たのかもしれません
 
被災地では年数を経るにつれて
震災の恐ろしさを知らない世代へと
時代が移っていきます
 
どうか 被災した皆さん
しっかりと東日本大震災での経験を
後世の家族に伝えてください
 
そして 必ず
「 それでもあなたは震災の体験者ではない 」
「 命を守るすべを自分から学びなさい 」
「 解ったつもりになってはいけない 」
そのように伝えて下さい
 
解ったつもりは
重要な情報を得る妨げになるはずです 

大きな失敗と後悔をした私は
体験談をお話ししながら
皆さんに多くをのことを学ばせて頂いています
 
真剣に聞いてくださる皆さんの目を
真正面から見つめてお話しできるように
解ったつもりになることはもう二度とないように
災害に対して 命に対して
おこがましい人間にならないように
学び続けていきたいと思います
 

被災した人間の気持ちの一端です
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語り部佐藤麻紀