あれから5年以上経っているのに 
自分の置かれた環境を
忘れていることがあります
 ...
目を覚ました時
ハッとして 
 
生きている家族が誰なのか
必死に思い出し
 
今自分が横になっていたところが
雄勝の自宅ではないことを思い出します
 
あぁ そうだ  
母は亡くなったのだ
祖母は亡くなったのだ 
 
ここは石巻の借り上げ住宅
 
私はまだ生きている
 
ひとつひとつ
身の回りの状況を確認し
また今日も普段の生活に溶け込んでいきます
 
目を覚ますことが出来るのは
当たり前ではないのだと
 
壁と屋根のある生活が
有り難いことなのだと
 
被災して学んだ実感です
 
家族を喪った実感には
時に触れることをためらい
時にどっぷりと浸かり 
 
そうして今日も生きています 
 
根無し草の生活は
根付く場所のない根っこを
やたらと太くするようです
 

被災した人間の気持ちの一端です
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語り部佐藤麻紀