仕事中に被災して
着の身着のまま逃げましたが
失ってしまったことを悔やむ物があります
 
「 取り戻したい物 」について...
 
東日本大震災で甚大な被害を受け
かけがえのない
大勢の人たちの命を喪ってしまった私達は
命以外にも取り戻したい物があっても
口に出すことをためらいがちです
 
私もそうです
 
震災後 借り上げ住宅で眠りかけると
ハッと目が覚めて
子供達の赤ちゃんの時の写真
生まれてから成長していく様子をとったビデオ
小学校入学の時の記念写真
成長を記録した母子手帳
頭の中で あれもない これもない・・・・
子供たちの思い出の記録が全てない・・・・
そう思うと涙が止まらなくなり
布団をかぶって泣いていました
 
これは被災した状況になれていない頃の話で
しばらくすると 
たまに何もないことをふっと思い出し
しょうがないんだなぁと思えるようになりましたが
その頃の私は記憶の中にある 
子供達の幼いころの姿や声 匂い
やわらかで暖かい大切な記憶を
この災害のショックで
すべて忘れてしまうのではないかと
気が気ではありませんでした
 
やりきれない思いを収めるために
命があっただけでも有り難いことなのに
あれがない これがないと考えるなんて
とんでもない罰当たりなことだ
物はしょせん物でしかない
無くなった物を数えても戻るわけがないんだからと
繰り返し繰り返し 自分に言い聞かせていました
 
ただ それまでは被災した場合に
思い出の記録まで失ってしまうなど知りませんから
このように 割り切るしかありませんでしたが
東日本大震災を経た今
皆さんは被災する前に
備えておくことが出来るのではないでしょうか
 
例えば 非常持ち出し袋を準備するのであれば
家族の写真 母子手帳 動画をデータ化して
SDカードやUSBに保存したものを
濡れないようにビニール袋に入れて一緒にしたり
それを夫婦お互いの実家に預かってもらうことも
思い出の記録を取り戻すのに役立つかもしれません
 
特に 母子手帳は無くなってしまうと困ります
災害後も 避難先に
子供たちの予防接種などの通知が届きます
しかし 母子手帳に記載された記録がない場合
普段は頭でしっかり覚えていたつもりでも
災害の尋常ではない状況で疲れ切ってしまい
いつどの接種を受けていたのか
なかなか思い出せなかったり
この接種を受けたのは上の子だったろうか?
下の子だったろうか?と迷うこともあります
 
私の場合は市役所で再発行をしていただきましたが
石巻市に統合される以前の
雄勝町の子供たちの記録が残されていないために
長女の予防接種の記録も途中からしかありません
当たり前ですが
出生以前の記録から成長記録も白紙の母子手帳です
その白紙の母子手帳を見るたびに
何か 子供たちに申し訳ないような気持ちになります
 
災害が来る前でしたら
皆さんの大切な思い出も守ることが出来ます
必要な記録も守ることが出来ます
もちろん命が守られることが一番の大前提ですが
災害後の心を守るためにも
前もって準備することをおすすめします
 
何もなくなってしまったとき
たった一枚の写真で救われることもあるのです
  

被災した人間の気持ちの一端です
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