災害の知識がないということは
大変怖いことです
専門知識を勉強し伝えることも大切なことです
しかし 私はここに留まりたいのです
「 私なりに津波と向き合うこと 」について
津波を経験している私は
非常時のサイレンの音に激しく動揺し
一瞬で あの東日本大震災の自分に戻ってしまいます
語り部の時も 心のふたを開け
当時の自分に帰るのです
必死で山に登りながら聞いた水の音
プールのようになった雄勝湾に浮かぶ大型バス
水が入って鳴り続ける車のクラクション
灰色の水につながった灰色の空
引き波に連動して震えて唸る山の音
生き地獄の中にいた私達
一瞬で そこに帰ってしまうのです
語り部でお話しさせていただくとき
雄勝弁でお話します
標準語でお話することもできますが
当時の気持ちに戻った私は
その時の気持ちのまま 故郷の言葉でお話します
今では その語り部をする場に
帰れなくなってしまった生まれ故郷があるからです
ふるさとの 最後の姿があるからです
そしてそこには
被災する前の私と 被災後の私が同時にいるのです
災害の経験がなく
怖いから 見たくない 傍に来ないでほしいと
逃げる怖がり方をしていた
当時の私と同じ立場の方に
怖いから
目を背けずに相手を知ろう 戦おうとする
怖がり方 向き合い方の重要さを知っていただくためには
あの日に帰った私のままで お話ししたいのです
もう津波に誰の命も取られたくない
命を奪われないために 語り部をすることが
私なりの津波への仕返しなのです
被災者となり5年が経ちましたが
災害のスキルがあるわけではないのです
ましてや 災害の専門家ではありません
語り部を通して 被災者になってしまった自分
母と祖母を亡くして戸惑い悲しむ自分の心と
折り合いを付けて行く過程にあるだけなのです
残酷なことですが
被災するということは特別なことではありません
災害は どんな人の身にも起こりうることです
かけがえのない人を失ってしまう前に
日々の話題の中で
防災減災のことを お話ししてみませんか
被災した人間の気持ちの一端です
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