「【初音ミク】終わり【オリジナル】」を投稿したのは2011年の事だ。
初投稿にしては挑戦的な曲だったと思う。ドラムもベースもなく、鳴っているのは環境音とギターに、初音ミクだけ。キャッチーさはないに等しい。
小編成だし隙間も多いから、豊かなアレンジにしようと思えば今の自分ならできるのだけど、音数が多ければいいという曲ではないような気がする。
「あのそぎ落とされた音数は侘しさそのものであり、秋のそれを未熟ながらも歌にできているのではないか」なんて、この記事を書きながら思っている。再生数こそ少ないものの、頭の中はしっかり再現できたのでとても楽しかった。
はじまりを振り返ってみると、改めて時の経過を感じさせられる。
「終わり」からあっという間に6年経ち、活動7年目に入った。
開始当時は高校生だった自分が今では24歳だ。6年間、それなりに楽しいこと、悲しいことは経験したはずだし、それらの内のいくつかはとても色濃く憶えている。
特につらい時期なんかはものすごく長くて、何をしようにも腰を上げられず鬱めいてしまい、そうしてる内に失うものも多くて生き地獄みたいなもんだったのに、この6年間は駆け足で過ぎ去ったような錯覚に陥っている。
そんな6年間にstarchots feat.初音ミクとしてウェブ上に公開した曲は、わずか13曲である。
2年半の活動休止を挟んだとはいえ、なかなかの寡作ぶりである。
あまり似たようなコード進行を使いたくない、という無理なこだわりが祟っているのだと思うし、そのこだわりも割とすんなり崩れてしまっているのでどうしようもない。星野源さんはコード進行の使いまわしが珍しくないのにあんなにたくさんいい曲書いてるんだしそろそろ意識改革をしたい。
生産ペースを増やしつつ、これまで同様どこを経由したとて着地点はポップを目指して励まなきゃな、と考えている。
わずか13曲といえど、アルバムを製作するには十分な曲数である。
そろそろアルバム作ろっかな~どうしようかな~と迷っているうちに出会ったのがvocalodonだ。たくさんのボカロファンの集まるマストドンインスタンスである。
「初音ミクの母乳が飲みたい」とかふざけた会話が多いのだけれど、そのくせして作る音楽はかっこいいものが多い。ここで知れてよかったなと思う曲がたくさんある。
戯れの奥に潜む熱量みたいなものに感化された結果、今年の4月、いよいよアルバム製作を始めたのだった。
途中「ボカロ丼ガールコンピ」参加曲「summer end, monologue girl」の製作のため休止を挟みつつ、ゆっくり自分のペースで製作を進めていった。
レコーディングしたことのあるフレーズと今一度対峙するのは、おもしろかったしつらかった。
例えばバンドであるなら、ライブを重ねるごとに練度が高くなり、難しいフレーズでもさらっと弾けることが多いと思う。
ところが、僕のようにライブをする機会のないDTMerだと、作ったフレーズを弾くことがレコーディング以降はあまりないのである。
弾かずにいる期間が長くなればなるほど、耳コピが必要なくらい何を弾いていたか忘れてしまうし、単純に難しく感じて全然弾けない。無残。
今回のアルバムで一番古い曲は「our blue, youthful days」の2012年8月で、実に5年ぶりの演奏。地獄でした。
過去の自分と戦いつつ、新曲のアレンジに苦戦しつつ、少し長めの製作期間をもってしてなんとか作り上げた1枚が「TRACKS」なのだ。
作るもんは作ったので、あとは興味を持ってくださった方に聴いて頂ければとても嬉しい。いいものはできたと思っている。
アートワークを担当してくださったのはMiraさん。
以前、僕の曲をテーマにファンアートを描いてくださったことが何度かあり、作風も非常に好みだったことから今回オファー。
お忙しい中引き受けて頂けてとても嬉しかった。アルバムの、本当に素敵な顔になった。
ご所望の対価はお渡ししたものの、もっと何万円か振り込みたい気持ちはいまだ変わらない。またお願いするときは容赦なくふっかけて欲しい。よろしくお願いします。
どこまで当記事を書けばいいかわからなくなってきたため、ここらで筆をおくことにする。
アルバム「TRACKS」は新譜としてのイベント頒布を終えたため、現在通販を行っている。
予想を上回るオーダーを頂いているがまだまだCD在庫はあり。DL版も取り扱っているので惹かれるものがあればぜひ。
アルバムより新曲「as usual」も公開中(そういえば恒例の新曲告知記事を完全に書き忘れた)。こちらもぜひ。