$ハッピーエイジングワールド-あ

 今朝の前橋は氷柱ができるほどの寒さ!久々に前橋でこういう光景を見ました。
ほんとうに寒いですが、みなさん体調管理はいかがですか?

 巷では「いよいよインフルエンザが流行シーズンに突入!」とか、「ノロウイルスが猛威」と騒がしいですね。

ウイルスは乾燥と寒さに強いので、この時期のヤツらの流行は仕方ないですね。

人類の歴史は感染症との闘いでした。 昔は天然痘やペストなど、ほんとうに大勢の人の命が失われた恐ろしい感染症がありましたが、今ではこれらとの闘いに科学、医学が勝利しています。

 新しいところでは結核がありますね。結核菌はいまでもありますし、実は患者さんもまあまあいらっしゃいますが、予防接種や抗生物質が開発されて久しいので、大抵は死に至ることのない感染症となりました。

 ノロウイルスは子供は毎年、大人は2年に一回かかる、と、以前お世話になった小児科の先生がおっしゃっていました。2年に一回、というのはもちろん「毎年はかからない」という意味合いなのでしょうけれど、うちの子供たちも昨年までは毎年やられていました。(今年はまだですが。)

子供が罹患して、吐瀉物やオムツを片付けると、その翌日くらいにだいたい自分が発症します。

もちろん仕事にならないわけで、3日くらいは患者さんを診察できなかったりします。

ノロウイルスは感染力が強くてやっかいですが、この感染の何が恐いかというと、脱水です。

 感染しただけではそれで死んじゃうようなことはありません。下痢したり吐いたりして、もちろん食べられないので体力が落ち、脱水症状がひどくなると、高齢の方や赤ちゃんのような抵抗力の弱い方は命の危険が出てきます。

 ということで、下痢したり吐いたりという症状が出たら、それが何ウイルスであってもとにかく脱水を防ぐことが大事というわけです。(吐いて下痢するウイルスはノロだけではないです。有名なところだとロタウイルスというのがいますが、白っぽい下痢になるのが特徴です。)

 食べられなければ点滴を打ちに病院に行くのもありだと思いますが、たいてい24時間絶食(水も飲まず)で、出るものは出してしまい、その後OS-1などの補水液をお湯などでうすめて、(もしくは常温でしばらくおいて)ちょっとずつ飲んで、吐かなければ重湯あたりから食べ始めるのがよいでしょう。

吐くとすっきりするので、つい「今のうちに食べて体力つけよう!」なんて思って食べると、だいたいまた吐きます。ちょっと心配かもしれませんが、普段普通の体力のある方はしばらく絶食した方がよいようです。

 テレビなどでいろいろ大げさに言っているのを聞くと、「感染するかもしれないから外に出るののをやめよう。」なんて思う方もいるようですが、私たちは他人と接触せずに生きるのは無理ですから、それよりも日頃から基礎体力をつけておく、免疫力を落とさないように、体を冷やさない、罹ってしまったかも、と思ったら早めの対応をする、などの対策を練っておくのがよいと思います。

 吐くものがあるときに吐き気止めを使うのはお勧めできません。悪いものは出してしまうに限ります。私は吐き気が治まってからのいわゆる吐き気どめの他、漢方薬も使いながら対応しています。あとはビオフェルミンのような整腸剤、そして、大抵胃が痛くなるのでそちらの薬も処方します。

 薬がなくても脱水さえ気をつければ病院に行くことはないかもしれませんが、心配だったらやはり受診してよいのではないかと思います。テレビで、「病院に行ってもよくなるわけではない。」とか、「かえって他の病気をもらって帰って来る。」なんてご意見の方も見かけます。そのご意見にも一理あるようにも思えますが、患者さんの基礎体力や基礎疾患、状態も人それぞれですので、不安があったら受診してください。


 もちろん感染しない、させないための対策は必要です。うがい、手洗いはもちろんのこと、医療機関では十分な消毒や、感染物の安全な処理なども必要です。

 しかし、どんなにがんばっても遷る時はうつります。ヤツらは小さくて見えないのです。完全にシャットアウトするのは不可能なのです。

 というわけで、体を冷やさないように!温泉がいいですよ!という話しになるわけです。
温泉地の子供たちは風邪の罹患率が低いというデータもあります。寒さと乾燥対策を万全に!そして罹ってしまったら脱水に注意!です。

 ちなみに、「ノロウイルスに罹って体重が落ちました!悪いことばっかりじゃないですね!」という患者さんがいますが、それは残念ながら間違いです。

 食べられないので当然体重は落ちますが、体組成をしてみると、体脂肪率は逆に増えているというパターンがほとんどです。動けないので筋肉も減りますし、もちろん水分も減ってますので数値的には体脂肪が増えるんですね。これは「痩せた」といえるのでしょうか?

 それに、自分も経験していますが、食べられるようになって2日くらいでだいたいもとの体重に戻って、その後さらに増えますね。

 前にも書きましたが、病気ダイエットはダメなのです。 ノロウイルス感染後に体重が落ちていても一喜一憂せずに、まずは体力をつけるためにバランスよく食べて、減ってしまった筋肉を取り戻すべく、体調に合わせて少しずつ体を動かすことが大事です。

 消化のよい食べ物は炭水化物ですから、ノロ感染が治ったばかりのときはおかゆなどがよいわけです。当然血糖値も上がり、太る原因になるわけですが、これは仕方ありません。
 体調が万全になってから、また炭水化物を控えめにすればよいことです。

食事療法は臨機応変に実行してください!

 あ、それからノロウイルスかどうかの検査はあまり意味がありませんので、私はやらなくていいと思ってます。わかったところで治療はかわりませんし、他のウイルスの可能性もありますし、他のウイルスでも遷りますし、時間と費用の無駄使いではないでしょうか?

 そんなわけで、万全の体勢で冬の感染症に立ち向かって行きましょう!