前橋温泉クリニックは昨日、7月13日で開業まる6年になりました。

 今でこそ「アンチエイジング」という言葉の正しい意味がだいぶ浸透し、外見だけでなく内臓、血管、骨、筋肉、脳などの体の内側からの老化予防という概念が定着してきましたが、開業したばかりの頃は「アンチエイジング」といっても、化粧品などの美容製品や美容整形のことだと思われ、「私には関係ない」といわれる方が多かったものです。

 もともと整形外科医である私がアンチエイジング、すなわち予防医療が必要だと思ったのは、国民の8割から9割の方々が経験する腰痛や膝痛などの原因のひとつが肥満であり、これを解消する手助けができないか、と考えていたことがはじまりです。

 勤務医時代は外来患者さんの数も多く、とても食事や運動の内容までお話している時間がありませんでした。手術など、特別な治療が必要な方以外は、薬や湿布を出して、「体重を減らしましょう。」なんて言って終わりになっていましたが、そんなひとことで体重が減るわけもなく、なんとかならないものかと思っていたものです。

 物理療法の効果を知った今では患者さんにおすすめもしますが大学病院では物理療法が充実していないので、勤務時代はその効果もよく知らずに、ただ薬を出すだけでした。これが悪いとはいません、必要があって出すわけですから。ただ、もっと根本的な問題、例えば、体重を減らす、必要な筋肉をつける、そして姿勢を保つなど、そういったところをいかに患者さんに実践してもらうかが重要で、なんとかそういうことに対する指導ができないものか、と思っていました。

 出産を機に大学をやめることになり、自分のやりたいことは何だろうと考えたときに、「アンチエイジング医学」だと思いました。体重を減らすことひとつとっても、運動だけではダメ。毎日の食事が一番重要です。これを指導するには栄養学はもちろん、内科全般、そして生理学など、いろいろと勉強しなおさなくてはなりませんでした。

栄養学は医学部では勉強しませんので、抗加齢医学会などを通じて新しい知見を勉強しました。

このような経緯で病気を診るのではなく、人を診る。そして、病気を予防し、毎日を活き活きと過ごし、寝たきりにならずに天寿を全うすることを目標とする「アンチエイジング医学」を実践する場を作ることになりました。

40年以上前から開業医として地域に貢献している父がずっと以前から予防医学を実践していて、腰痛で受診した患者さんに食事指導までするという細かい診察を行っていたことも私に影響を与えてくれたと思います。

さらに、前橋市初の天然掛け流し温泉前橋温泉クア・イ・テルメがあったこともアンチエイジング医療を行っていくうえで大きな助けとなりました。

温泉の免疫力アップや血流改善、自律神経系のバランスを改善させる効果は医学的にも研究されているし、よく知られています。アンチエイジングとは活き活きと毎日を充実させて過ごすことが目的ですから、温泉をアンチエイジング医療に役立てることは私にとってごく自然なことでした。

こんなわけで開業した前橋温泉クリニックですが、おかげさまで6周年をむかえることができました。

日本はこれから超高齢化社会をむかえることになります。年金制度などもあてにならないという経済の専門家も多く、「生涯現役時代」が到来することが予想されます。それにはとにかく健康でいることです。できるかぎり老化と病気、そして怪我も予防し、充実した人生が送れるようにすることが求められます。


今年の2月からは内面だけでなく外側からのアンチエイジング医療にも取り組み始めました。これからも新しいことにチャレンジしながら、できるだけ多くの方のアンチエイジングのお手伝いができればと思っています。

今後とも前橋温泉クリニックをよろしくお願い致します!