自分に落ち度があったにも関わらず、謝ることができずにやり過ごしてしまったこと。
いくつかある苦い経験をなるべく忘れずにいようと思う。
小学生高学年のとき、学校の花壇のレンガをなんとなく数えたのをきっかけに、
友達と学校中のレンガがいくつあるのか数えよう、ということになった。
そういうおかしなことを言い出すのは、だいたい自分だった。
さすがに一つずつではなくて、縦横を数えて掛け算して求めていく。
放課後に何日も掛け、二週間くらい経ったところで、データが集まった。
メモ帳にたくさん書かれた数字を、自分が集計して翌日みんなに報告することになった。
電卓を使いながら合計を出してみると、最後のほうにどうもおかしいことに気づく。
足し算掛け算の順番を間違えるような年齢ではなかったが、おかしい。
おかしいと思いながらも、計算を続けてしまったのが間違いで、
恐らくどこかで入力を間違って、電卓の桁を超えてしまっていた。
悲しいかな小学生の自分は、計算が終わるごとに、
メモした数字を消しゴムで消して、新しい数字を上から書いていた。
その時点で数字はもう一種類しか残っていない。血の気が引いた。やってしまった。
取り返しがつかないとはこのこと。みんなの苦労が水の泡に。
翌日どうしたかは覚えていないけど、多分素直に言うことはできなかっただろう。