いつもお世話になっております。
代表の齊藤です。
身体の中で最も重要な関節はどこであるかと聞かれたときに、皆様はどの関節を想像されますか?
『骨盤帯』でしょうか? または、『体幹』と言われる方も多いのではないでしょうか?
私は股関節が最重要であると考えます。(他の関節が重要じゃないということではないですよ)
それは、全身の関節の中で、股関節が最も機能的でなければならないと考えているからです。
股関節に近隣する部位として、骨盤帯や膝関節が位置します。特に股関節は骨盤帯を含む体幹をコントロールする機関であると考えられます。体幹機能を最大限に賦活するためには、股関節機能を高める必要があるのです。
今回は、股関節の機能障害の鑑別について、ご紹介させて頂きます。
目次)
- 障害部位を考える
- 触診と各種テストの意義について
- 治療方針の決定
1.障害部位を考える
プロメテウス解剖学アトラス より引用
股関節を評価していくにあたり、寛骨(骨盤)による問題であるのか、または大腿骨による問題であるのかを鑑別する必要性があります。
それを考慮せず、単純に股関節の動きが悪い、筋力が弱いなどと評価することには何も意味がありません。
例えば、股関節の伸展制限のケースで考えてみましょう。
2.触診と各種テストの意義について
股関節の伸展制限で考えられる筋群としては、股関節の屈筋群が挙げられます。
股関節の屈筋群の短縮を検査する方法には、Thomas test(トーマステスト)が一般的に知られていますが、このテストからも診方を変えることで、寛骨(骨盤)の問題なのか大腿骨の問題なのかを鑑別することが可能となります。
テストの際の陽性判定としては、屈曲した側と反対側の大腿骨が筋短縮のためにベッドから離れていく徴候を指しますが、この際、その徴候が見られない場合においても陽性と判定するケースがあります。
それは、骨盤前傾と腰椎前弯が増強するケースです。
これは、トーマステスト以外にも上記に示している。イリ―サインやオーバーテストにおいても同様に見られる現象です。
この現象がみられた際には、腰椎にも付着する股関節の屈筋、すなわち大腰筋の短縮を疑います。
また、骨盤前傾の結果、腰椎-骨盤リズムに伴い腰椎の前弯が増強したとも考えられるため、骨盤前傾に作用する股関節屈筋群の短縮も考えられます。(または、身体後面の骨盤前傾作用を持つ筋群の短縮)
これらは、股関節の問題を体幹が代償している結果と考えられます。
股関節が体幹機能を保証しているという考えがこういった現象からも確認することができます。
また、股関節の屈筋群は、大腿直筋や縫工筋、大腿筋膜張筋、小殿筋など多数あり、各種テストのみではこれらの筋群の中で最も短縮している筋を鑑別していくのは困難です。
上記のテストに加え、そこに的確な筋の触診を合わせて行うことで問題点が浮き彫りとなってきます。
3.治療方針の決定
評価が的確に行えれば、治療はそう難しくはありません。治療テクニックは評価した対象の状態に応じて選択すればいいのです。
治療の選択肢を持つ、すなわち引き出しを多く持つことが重要です。
例えば、トリガーポイントアプローチと筋々膜アプローチの適応が異なるのはご存知でしょうか?
トリガーポイント障害では、対象の筋を最大収縮した後、5秒以内に同一の筋を筋力テストした際に筋力の弱化が認められます。
一方、筋々膜の障害では、対象の筋を最大伸張した後、5秒以内に同一の筋を筋力テストした際に筋力の弱化が認められます。
また、関節モビライゼーションは対象の関節の可動性が亢進している場合においては、禁忌となります。
このように、治療テクニックには適応と禁忌が存在します。
一つのテクニックで全てを治療することはできません。そして、最も重要なのは、それを判断する評価能力となります。
運動学・解剖学・生理学に基づいた適切な評価が、治療の選択肢を増やし、引き出しを増やすことに繋がります。
このような視点を持つことは、患者さんの利益につながると共に、自身のリスク管理にも必須となります。
盲目的に手技に溺れることなく、評価のプロセスを経た治療介入がなされることを望みます。
一般社団法人セラピストフォーライフ
代表 齊藤洋輔
【ミッション・・・使命】
医療・介護・予防に携わる人の成長と喜びに全力で貢献し、
メディポ:医療・介護・予防・健康の総合情報ポータルサイト
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(徳島会場)
2018/02/13(火) ※平日夜間の開催となります
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→隔膜へのアプローチができるようになると、臨床の幅が拡がります。隔膜の評価とアプローチを学ぶことで、今まで解決できなかった悩みへのヒントになるかもしれません。
http://www.therapist-for-life.com/pm/outline/display/n/p149
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