ピピッ!ピピッ!

 

うるさく部屋に響く目覚まし時計を

バンッ!と思いっきり叩きつけ止めた。

 

「結局…寝れなかった…。」

 

昨日の夜の出来事が頭をぐるぐると回ったせいで、

寝返りを打つばかりだったのだ。

 

一つ小さくため息をついた。

 

そういや、あの制服のバッジ、赤色だったな。

ってことは、私のひとつ上…。

 

「…今日確かめてみるか。」

 

*****

 

「柊先輩が?」

 

さっそく学校に着いて翠に昨日の話を言うと、

さっきまで眠そうだった翠の顔がイキイキとし始めた。

 

「うん。

知ってるの?」

 

「知ってるもなにも、

成績優秀、容姿端麗、まさに王子様的存在で、

女子からの圧倒的人気を誇る 柊 怜 だよ!」

 

ずいっと身を乗り出しながら言ってきた。

 

「そ、そうなの?」

 

「そうだよ!

あ、あとで2年の教室見に行ってくる?」

 

「うん、行く!」

 

一体昨日のあれはなんだったのか聞いてこなきゃ。

 

*****

 

全ての授業が終わり、

私たちは柊ガール達(柊先輩のファンのこと)に先を越される前に

慌てて教室を出た。

 

「2−2…。

あ、あったあそこだ!」

 

私はそう叫び、急いで教室へ向かう。

そして、教室の前に着き、少し深呼吸をした。

 

「大丈夫?」

 

翠が深呼吸をしている私に言った。

 

「うん。」

 

よし、行くぞ!

 

「失礼しま、うわ!」

 

戸を開けた瞬間、

ものすごい勢いで顔面をぶつけてしまった。

 

人?

 

「す、すみません!」

 

慌てて頭をさげると、

 

「…邪魔。」

 

上から冷たく言い放たれた。

 

この声は…。

 

私はすぐ声が聞こえた方に顔を上げた。

 

「柊…先輩!」

 

私は口をあんぐり開けて先輩の顔を見た。

 

あの時の先輩だ。

 

「何か用?」

 

出会った時と同じ言葉をかけられた。

 

「いや、あの!

昨日のことを…!」

 

と、言おうとした瞬間。

 

「柊センパーイ!!!!」

 

柊ガールズの波に押しつぶされてしまった。

 

「うわっ!ちょっ!」

 

た、倒れる…!

 

目をつぶって衝撃を待ったが、一向に来なかった。

なんと…

 

「危ないな。

バランスってものないわけ。」

 

先輩の腕に助けられていたのだった。

 

「あーーーーーーーーっ!!!!」

 

柊ガールズたちは騒然とし、

私は先輩にお礼にもならないお礼を言って、

慌ててその場を立ち去った。

 

 

 

 

 

「…軽いな。」