大荒れの大相撲秋場所。一人横綱の日馬富士が3連敗と不振を極め、大関照ノ富士が古傷の膝を痛めて休場必至な状況に追い込まれた。これほど上位力士に怪我人が続出した場所は記憶にない。相撲協会の八角理事長は未だに力士の自己管理に責任を求めるが、そんな悠長なことを言っている場合か。力士の大型化、年6場所制の限界、番付制度の問題、相撲協会の危機感の欠乏など様々な問題が噴出している。特に目立つのが膝の怪我と肉離れ。回復に時間がかかり下手をすると引退に追い込まれる。人気力士が一斉に膝や肉離れになるとは協会も想定外だっただろう。伝統を重んじる相撲協会は制度改革に着手しないのではないか。過去にも横綱大関陣が総崩れした場所はあった。特に昭和47年初場所は1人横綱北の富士が不調で14日目に休場、大関前の山も休場、大関琴桜と清国も4敗5敗と不振。10勝が優勝ラインになる恐れもあったが11勝の平幕栃東が優勝した。昭和47年の大相撲は前年秋に横綱玉の海が急死し、横綱北の富士が精神的に参ってしまい、大関陣も30代のベテラン揃いで、新旧交代が必至の状態だった。その中から輪島、貴乃花、北の湖が台頭、ニッパチと呼ばれる当時20歳前後の若手が躍進し主役交代を迎えた。今の大相撲の状況と極めて似ている。年齢と共に怪我に苦しむことが多くなるのが格闘技の宿命。一旦怪我をしてしまうと生きの良かった力士も途端に弱体化し力を失う。把瑠都も照ノ富士もどこまで強くなるのか期待されたが、怪我が原因で全盛期の力を失った。今場所主役交代の時が一気に来た感じだ。若手ホープ達よ絶好のチャンスを生かせ。