情報を頂きましたのでコピペ紹介⤵︎



『エクソソームとヴァイロセル仮説』


ウィルスの感染方法には、実は2通りのパターンがあります(図の青色矢印A B)。これまでの多くの研究で、エクソソーム(Exosome)という、宿主細胞から分泌される直径50150nmのウィルスと同じような大きさの粒子を利用して、他の細胞に感染するということがわかっています。


エクソソームの表面は、細胞膜由来の蛋白質を含む脂質二重層で覆われており、内部には核酸(マイクロRNA、メッセンジャーRNADNAなど)や蛋白質など細胞内の物質を含んでいます。ウィルスに必要なカプシド蛋白の殻はありませんが、外観はウィルスとよく似ています(写真)。


エクソソームは細胞外小胞(Extracellular vesicle)の一種で、他にもマイクロベシクル、アポトーシス小体があります。細胞から分泌されたエクソソームは細胞の隙間だけでなく、血液や髄液、尿といった体液中にも100兆個以上存在しており、身体中を循環して細胞から細胞へと情報を伝達するという役割を担っています。


がん細胞もこのエクソソームを出しており、がん細胞の転移に大きく関わっていることも分かってきました。またこのエクソソームをがんのバイオマーカーとして調べることで、がんの早期発見ができる新しい検査技術も開発されています。


ウィルスが感染した細胞内では、ウィルス自体の複製も行われていますが、同時にウィルスの材料とウィルス感染に必要な受容体(ACE2など)を、細胞が作っているエクソソームを利用して他の細胞に送りこんでいます。いわば自社工場内での完成品とは別に、材料だけ他社の工場にトラック(エクソソーム)で送り込んでOEM製品を作っているようなものです。


この宿主細胞のエクソソームを利用したウィルスの生存戦略があるということを知った時、武村政春先生の著書「ヒトがいまあるのはウィルスのおかげ!」の中で紹介されていた「ヴァイロセル仮説」を思い出しました。


「ヴァイロセル仮説」とは、フランス人の微生物学者、パトリック・フォルテールが提唱している仮説で、「ウィルスの本体はウィルス粒子ではなく、ウィルス粒子を作っている細胞そのものである」という考え方です。この考え方を理解するには、コペルニクス的転回のような頭の切り替えが必要となるかもしれません。


従来の人間を中心とした考えではなく、ウィルス目線で起こっている現象を見直すと、生物の細胞に感染している状態がウィルスの本来の姿であり、今私達がウィルスと呼んでいる粒子は、遺伝情報を継承していくための手段に過ぎないというのです。


例えるならば、植物の花粉や胞子がウィルス粒子であり、植物が育つための大地が人間などの生物といった感じでしょうか。生物の進化にウィルスが関わってきたと言われていますが、実はウィルスが感染した細胞(ヴァイロセル)にとって都合が良いように、地球上の生物はウィルスにより進化させられてきたのかもしれません。


武村先生は本の中で、「ウィルス粒子を放出し、生物の細胞をのっとって生物の完成形となり、次世代を作るためのウィルスを量産し、再び粒子を放出するー」「感染によって、別の生物の細胞をコントロールの下に置いて次世代をつくるウィルスは、人間をのっとることで仲間を増やしていくゾンビ的な行動をしているといえそうです」と書かれています。


従来ウィルスは生物ではないとされてきましたが、これは花粉や胞子と同じようなものをウィルスと勘違いしていただけで、実はヴァイロセルは細胞を持ったれっきとした生物と言えます。宿主細胞のエクソソームも利用することができているのも、ウィルス粒子ではなくヴァイロセルがウィルスの本体であると考えると、なるほどと納得できるのではないでしょうか。