『こんな体で産んでしまってごめんね』



 

それはきっと母親としての精一杯の愛情の言葉だったんだと思う

 

 

 

 

でも子供心に、親から最初に言われたその一言は

 

 

『自分はダメな形で産まれて来たんだ』


そう思わせるには十分な言葉だった。


 

 





スワンネック変形と猿腕










 

 

 

指が反り返り、腕が湾曲した状態で彼女は産まれた。

 

 

 

バレエを習っても

ピアノを習っても

 

 

 

その身体的な状態から『向いていない』と言われてしまう。

 

 

 

でも、大好きなピアノだけはどうしても

諦められなかった。

 

 

 

だから、曲がった腕を調整するように

反り返った指でちゃんと弾けるように

 

 

 

 

きちんとした弾き方に強制するような形でピアノを弾いていた。

 



 



その奥底にあるマインド、彼女の前提はもうお分かりかと思う

 




 

『このスワンネック、猿腕は不利、そして私にとってデメリットだ』

 

 

 

 

——————

 

 

 

 

 

ピアニストのナムカちゃん。 



 



 

1月14日のLiveの後に、

インスタに入ったコメントがあった。




『スピナーを耳コピアレンジでピアノで弾いてみたので聞いてみてください』

 

 

それがきっかけで、すっかり彼女の音に惚れ込んでしまい



私はピアノのレッスンを依頼した。




 

 

 

長時間のレッスンで2人きり、数回しかあってないけどナムカちゃんの色々を聞くうちに

 



 

前述した、自身のスワンネックと猿腕に関するネガティブな観念を発見した。

 

 



 

でも、ピアノを知らない私からしたら

それは武器でしかないと思った。

 

 

 

 

指が反り返ってるからこそ、その力加減でしか出せない音がある。

湾曲した腕だからこそ、その腕の形を活かした独特な弾き方がある。

 

 

 

逆にそれは多くの普通の腕、指、できちんとした形でピアノを弾ける人間には出来ないものだ。

 

 



 

 

更には突出した彼女の才能。




この掛け合わせを見たらすぐに分かった。

 


 

 

 

『猿腕とスワンネックは今世、自分だけのピアノの音を奏でるためのナムカちゃんにとっての魂のブループリントだ』

 

 

 

 

それを伝えたら

大きな目を丸くして、涙目になりながら晴天の霹靂だ、と言っていた。

 

 

 

そりゃそうだ、今まで忌み嫌っていたものが

まさかそんなことあるはずがない。

 

 




 

 

受け入れがたいと思うし

 

 

猿腕を活かした弾き方、それはもしかしたら立ち上がらなきゃいけない弾き方かもしれないし

スワンネックを活かした弾き方だって、今までの弾き方と違う感じで

 

 

『そんなの変』って言われてしまう独特なスタイルになってしまうかもだけど

 

 

 

それでも、『スワンネックと猿腕を直す、正す、強制する』って形をやめて弾いてみてほしい。

 

 

 

 

 

そして、不利でもデメリットでもなく、むしろ素材として活かせる最大の武器になる。

その観点で自分のことを見てあげてほしい。

 

 

 

 

 





そんなことを伝えた数日後から

疑いながらも、取り組み始めてくれた。

 

 







そして、彼女オリジナルの



スワンネック奏法



というものを世に産み出した。







 

 

 

 

 

音が、弾き方が、どんどん”彼女そのもの”になっていく。

 








自分という存在を受け入れた魂の音だ。

 










スワンネック奏法でのパキラの花もすごい。


 






 

 

 



以下、スワンネックと猿腕が不利だから

"直そう'という意識で弾いてる"音"との違いを

聴いてみてほしい。

 







当たり前にものすごい才能、スキルとテクニックだけど、


音の響き渡り方が「自分を活かして弾いてる時」と
違うと思う。




 







これは、4月のライブ用でナムカちゃんが作った画像。



 




 

そこには悪魔の手が映ってた

 

 

 


 

 

 

悪魔だと思い嫌い続けた”それ”は、

ほんとうは自分にとっての宝物だった。

 

 

 

 

 


なんだか彼女そのものの様な気がした。



 

 

 


——————————

 

 




 

 コンプレックスを抱える全ての人へ。






 

 

自分の気に入らないところや

嫌っている部分

 

 

そんなのは誰にでも一つや二つはあるもので

 

 

 

その闇にスポットライトを当て続けると

ダメな部分、嫌いな部分、直さなきゃいけない部分しか浮かび上がってこない。

 

 



 

でも、反転させてせっかくそれは宝物になるはずだったのに



自分っていう素材を活かせるアイデアすら、自らの手で塞いでしまうのだ。

 

 

 

 

 

 

自分のことを好きにならなくていい

直さなくていい

正さなくていい

 

 

 



 

 

嫌いなままで愛せばいい