「カルチャー」「ゲット・アップ・ルーシー」からの「バードメン」
1997年、高校一年生となった僕は地元の進学校に通い始めました。
今考えてみると「は?何が?」みたいな感じなんだけど、僕の家ではその地元の進学校に進むのが「当たり前」みたいな育てられ方をしたので、中学の頃は受かるために結構勉強しました。
そもそも僕自身、勉強はできたけど好きではなかったのでそれがほんとに苦痛で苦痛で‥。
テストでいい成績をとらないと怒られるような家だったので、まぁ親の期待に応えようと頑張ったわけです。
↑今書いてみるとまるで安いテレビドラマのような内容で笑えてくるね。
そんな訳で高校に受かったものの、勉強が大っ嫌いになってしまったのです。
勉強をまったくせずに僕はその時間をすべてギターに注ぎ込みました。
入学祝いに買ってもらったフェンダーのテレキャスターを、毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日、狂ったように弾きまくったのです。
1997年の初め頃、ミスチルは無期限の休業に入りました。
もともとギターを買ったキッカケはミスチルの「Everything(It’s you)」という曲のギター・ソロが弾きたくてでした。
ミスチルにしては珍しい長尺のギター・ソロを、田原君と桜井さんがそれぞれのテレキャスターで交互に分担して弾くのを見て
「俺もあんな風に弾いてみたい」
と、若かりし渡辺少年は思ったのです🎸
なので僕のギター人生の最初の数ヶ月はひたすらミスチルの楽曲をコピーするというものでした。
ミスチルの曲は難しいテクニックのソロは出てこないけど、その代わりに非常に沢山のコードが使用されているため、ギターを始めたばかりの僕にはコードを覚えるのにとても勉強になりました。
先に書いたように97年の始めころからミスチルは休業に入ったため新譜が出されることはなく、その代わりに僕は当時一世を風靡していたGLAYやラルク・アン・シェルなんかを聴いたりしていました。
いわゆるビジュアル系と呼ばれる音楽です。
音楽は素晴らしかったと思うし、一大ムーブメントを築いただけあってやはり勢いのあるバンドだったなと思います。
ただ、僕としては周囲の友達のように強烈にのめり込むことはどうしてもできなかったのです。
それは心のどこか深いところで、「なんか違う」と感じていたからだと思います。(これは僕個人の感覚というだけで、そのアーティストには敬意を持っています)
好きになるアーティストって2種類あると思うんです。
これは人によると思うんですけど。
一つは「憧れ」から好きになるパターン。
アーティストの中に「自分に無い部分」を見つけた時、それに対する強烈な「憧れ」から好きになる場合です。
例えば、マイケル・ジャクソンやビートルズ、宇多田ヒカル‥みたいなアーティストがそれにあたります。
要はどんなにひっくり返っても「自分はあの人みたいにはなれない」ということが明確に分かり、だからこそその圧倒的な「才能」に対して強烈な「憧れ」を抱くんですね。
で、二つ目は「自分と同じ」という感覚から好きになるパターン。
アーティストの中に「自分と同じ」部分、例えば考え方、悩み、生き方‥なんかを見つけたときに、その部分に強烈なシンパシーを感じて好きになる場合です。
僕がアーティストを好きになる時は圧倒的にこの場合が多いです。
ミスチル、ストーン・ローゼズ、岡村靖幸etc‥。
そしてミッシェルももれなくこの中に入るのです。
休業中のミスチルに代わる音楽が見つからないまま夜更かししてテレビの音楽番組を観ていたある夜。
僕は再びミッシェルと出会うことになりました。
その番組の中ではミッシェルのロンドン訪問?のことが特集されていました。
そしてその番組の中でできたばかりの新曲のPVがフルで流れたのです。
その楽曲は
「カルチャー」
僕がミッシェルの中で一番好きな曲です。(ギターでも大袈裟じゃなく何百回弾いたか分からないほど)
攻撃的なギター・リフから始まるこの曲は、アベフトシのテレキャスターから繰り出されるカッティングが随所で炸裂しているロックン・ロール・ナンバー。
チバのボーカルはそれとは対照的にまるで人を小馬鹿にしているようなトーンで終始歌われていて、ウエノコウジとクハラカズユキのリズム隊が作り出すちょっと変わったリズムが楽曲に独特の緊張感とノリを与えています。
PVも最高で、ズームイン・ズームアウトを繰り返して演奏場面を撮ることで、時たまズームインし過ぎて骨までいっちゃった!とのごとくユーモアに溢れています。
僕はこの「カルチャー」のPVにノックアウトされてしまったのです。
同じテレキャスターなのに、どうしたらアベのような音で、アベのように弾けるのだろう??そんな風に「まったく訳の分からないギター」を聴いた感覚でした。
画像お借りしました。(「カルチャー」PV 写真はアベフトシ)
そしてこの時以来、僕は「thee michelle gun elephant」という文字を偏執的に探すようになりました。
駅そばの本屋さんでは音楽誌にミッシェルの名前を探しては、見つかったものを片っ端から読みまくりました。
テレビでもミッシェルの名前が出てくるならすかさずチェックするようになりました。
ギターでもミッシェルの曲に挑戦してみました。
高校がある地域のさびれた楽器屋に奇跡的に「High Time」のバンド・スコアが置いてあり、それを購入して楽曲のコピーにチャレンジしたのです。
ですがギター歴数ヶ月の少年にはアベフトシのギターはあまりにもレベルが高すぎて、ろくに弾くことができませんでした。
しかしミッシェルの楽曲はコード弾きの部分が結構多いので、ミスチルでコード弾きをマスターしていた僕にとってその部分は弾くことができました。(ただ、テンポが早すぎて全然ついていくことができなかったけど)
コード弾きで弾くことはできても、ミッシェルのアルバムで聴けるようなギターの音にはほど遠く、弾けば弾くほど「マジどうやって弾いてんの??」と疑問は募るばかりでした。
そしてそれからしばらくした深夜。
NHKのBSで当時放送されていた「真夜中の王国」という番組がありました。(確か夜中の12時とかそのくらいからの1時間番組だった覚えがある)
月曜日から金曜日までパーソナリティを変えて放映されるその内容は、バンド、俳優、漫画家などの新進気鋭のゲストを招いてのトーク。
そしてその合間に当時最新のサブカルチャーを紹介するというコーナーもありました。
僕はこの番組が好きで週5で毎晩観ていました。
「真夜中の王国」ではコーナーとコーナーの間にショートカットした音楽PVを流したりもしていました。
ある晩、そのPVで僕はミッシェルのあの名曲を知るのです!
その曲こそミッシェルの超有名曲
「ゲット・アップ・ルーシー」
印象的なドラムから始まるこの曲は、続け様に印象的なギター・リフ、そして耳に残りまくるカッティングのフレーズでグイグイと引っ張っていく曲です。
チバの抜群のメロディ・センスが活かされ、「ゲッタップルーシー♪ゲッタップルーシー♪」のリフレインは一度聴いたら耳から離れません。
この曲を聴いた次の日、クラスで「真夜中の王国」を観ているもう一人の友達との間ではこの話題で持ちきりでした。
「ミッシェル・ガン・エレファントがクソカッコいい!」
それだけの情報の共有で僕らは一気に興奮しまくったのでした。
そして立て続けにシングル「バードメン」が出される頃には、僕はミッシェルの新しいアルバムの発売を心待ちにしていました。
その頃のミッシェルは「ギヤ・ブルース」につながる勢いのあるバンド特有の「無敵感」を纏い始めていました。
④に続く
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