ギターを長年弾いてきたんだけど、やはりその都度その都度コピーしてきた曲・聴いていた曲は変化している。
そこで!
ギター人生を通しての「俺のギター名盤」を紹介していきたい。
僕はもともとギターを始めてから音楽を本格的に聴き始めたタイプなので、リスナー型というよりプレイヤー型の音楽の聴き方をしている。
音楽を聴く際、「曲が良い」というのはもちろんありきなんだけど、その次にくるのはやはり「ギターがカッコイイか」ということ。
そういった音楽の聴き方をしてきたからこそ、今の僕のギタースタイルが築かれたのではないか?と思ったりもする。
そういった僕の人生の中の「ギター名盤」を紹介していきたい。
さて、前置きが長くなったけど早速始めよう。
今日の「俺のギター名盤」
The Stone Roses
「The Stone Roses」
イギリスのマンチェスター出身の4人組バンド、The Stone Rosesの1stアルバムで、いわゆるギター・ロックの金字塔アルバム。
僕にとって邦楽ロックのヒーローがミッシェル・ガン・エレファントなら、ローゼズは洋楽ロックのヒーローだ。
2017年の武道館ライブももちろん行きました!
土臭いロックの質感を教えてくれたのがミッシェルだとしたら、ローゼズはロックの持つ考え方や姿勢を教えてくれたバンドだ。
ローゼズの持つロックの姿勢は、いまだに僕の中で生きる指針となっている。
大好きで大好きで仕方がないローゼズだけど、最初に聴いた時の印象はひどく地味なものだった。
というのも、僕はローゼズを「後追い」で知ったからだ。
僕が15とか16くらいの頃はオアシスが爆発的に人気があって、いわゆるUKロックといえば誰もが「オアシスみたいな」音楽を想像した。
それはつまり、クソやかましいエレキギターの音とそれと共存するクソみたいに分かりやすいポップなメロディの音楽だ。
オアシスを知ってから「後追い」で、彼らがストーン・ローゼズというバンドに影響を受けていると知り、ローゼズを聴いた僕は
「あれ?」
という肩透かしを食らったのだ。
なんかあまり「UKロック」という感じがしない‥。
オアシスみたいじゃない‥。
あまり良くない‥。
それが僕の初めてローゼズを聴いた時の正直な感想だ。
しかしなぜか知らないけど、それ以降もローゼズの音楽や、ローゼズのことが気になる‥。
何度も聴いたり、彼らのことを調べたりするうちにどんどんどんどん好きになり、気がつけば自他ともに認めるストーン・ローゼズ・フリークになっていました。
さて、話は戻って1stアルバム。
このアルバムを聴いたのは確か大学1年の秋頃。
友人に借りて聴きまくった。
オアシスのような強力なポップネスがあるわけではなく、ギターとしてもそこまでロックなイメージではない。
しかし聴けは聴くほど何故か知らないけど中毒のようになっていき、気がつけばほぼ毎日聴いているという状態。
というのも、このアルバムは一曲目の「I wanna be adored」から始まり、ラストの「I am the resurrection」までがひと続きの流れのような文字通りの「アルバム」であり、その全ての曲を流れで聴くことでその輝きを放つものだったからだ!
そして実はこのアルバムにおけるジョン・スクワイアのギターは、後続のギタリストに多大な影響を与えている。
写真お借りしました。
全編に渡ってギターには深いリバーブとコーラスがかけられており、ときにはフランジャー、ときにはオーバードライブ、ときにはワウ、といったように変幻自在で実にカラフルなギターを聴くことができる。
これはジョンのエフェクターによるものなんだけど、「1人のギタリストが1本のギターと多数のエフェクターによって曲に彩りを与える」という原型を築いたのは紛れもなくこのジョンの手法だ。
当時の僕も例外なくこのギタースタイルに影響を受け、いつかは自分1人のギターで全てのギターパートを補いたいと思ったものだ。
具体的にこのアルバムでのジョンのギターを見ていこう。
ギターのトーンはクリアかつ非常にトレブリーで高音が強調されている。
シングルコイルのピックアップのギター(ストラトキャスターなど)っぽいサウンドなんだけど、このトーンになった理由はジョンのギターフレーズにある。
1stで聴けるジョンのギターはアルペジオを中心にしたものだ。
自分で弾いてみれば分かるけど、エレキギターのアルペジオにはシングルコイルのピックアップのギターのクリーントーンがとても相性が良い。
ジョンはこの相性を活かし、アンプのセッティングと合わせて美しく澄んだメロディラインを構築している。
こういった美しいアルペジオラインはスミスのジョニー・マーから、もしくは60年代のバンド、バーズから拝借してきたものだと思うんだけど、ジョンのアルペジオはマーやバーズのそれよりも明らかに単純だ。
要は簡単に弾けるくらいシンプル。
そこまでシンプルだからこそ、逆に耳に残る。
ここがジョンのギターの魅力で、バッキングに埋もれない「歌う」ようなアルペジオフレーズを楽曲に当てはめる才能が抜群なのだ。
歌の後ろで聴こえるギターでも、歌と同じくらいメロディアスで耳に残るアルペジオ。
このジョンのアルペジオの手法から僕が受けた影響は計り知れない。
The Stone Roses
「Second Coming」
一気に2枚紹介です。(と言っても、ローゼズは2枚しかアルバムを出していないんだけど。)
オアシスみたいな「UKロック」を期待した当時の僕が最初に買ったローゼズのアルバム。
なぜ2ndを最初に買ったかというと、発売された時がオアシスのアルバムの頃と近かったから。
で、最初に書いたんだけど、このアルバムはひどく地味な印象だった。
なんだか全体的にダラッとしたような雰囲気が漂っていて、ボーカルのイアン・ブラウンの線も細くてちょっと期待外れだった。
なんだか「できそこないのレッド・ツェペリン」みたいな感じがして、なぜこのバンドがそんなに人気なのか正直分からなかった。
それでも「Breaking into heaven」や「Driving south」、「Ten storey love song」、「Begging you」は紛れもなく素晴らしい曲だったから何度も何度も聴いた。
それで聴き込むうちに、なんとなく分かってきたのだけど。
そもそもこのバンドはどうもオアシスとは音楽的バックグラウンドや音楽的方向性が違うようだ
ということ。
オアシスのようなポップなロックソングを作ることが目的ではなく、バンドとしてのグルーヴを中心とした曲を聴かせるバンドなんじゃないか?
そんな風に感じ始めた。
そう考えてみると、アルバムを通して意味が分かってくるのだった。
アルバムを通して漂うダラッとしたドラッギーなグルーヴは、ローゼズの持つ独特の「しまらない」ノリであり、そしてそのノリを活かすために曲のメロディやギターが存在していると考えると、すごくしっくりくる。
ギターを見ていこう。
1stで聴けたようなキラキラしたアルペジオはこのアルバムで一切聴かれない。
代わりに聴けるのは、レスポールのようなハムバッカーのピックアップを搭載したギター特有の、太くて土臭く、ブルージーなギターサウンドだ。
ギターのフレージングもブルージーでハードなものが多い。
この頃のジョン・スクワイアはレッド・ツェペリンに入れ込んでいたというから実に分かりやすい。
しかし、ツェペリンのジミー・ペイジとはやはり別物で、このアルバムにはマッド・チェスターを通過したギタリスト特有の「ファンキーな」フィーリングのギターが詰め込まれている。
例えば「Breaking into heaven」でのねちっこいワウやバッキングでのカッティングのギター、「Daybreak」で聴けるようなクランチ気味のカッティングギターのリフは鋭い切れ味とはまた違ったファンキーさを曲に与えている。
そしてやはり注目すべきはジョンのサウンドメイクのセンス。
レスポールのギターだと、どうしてもピックアップの特性上「太くて重い」サウンドになりがちなんだけど、ジョンのギターサウンドはそうではない。
歪むか歪まないか、いや、やっぱ歪んでるよね?
くらいのギリギリの線のギターサウンドでレスポールのサウンドを引き出している。
それはバッキングやソロを弾いた時に「ぐちゃっ」とならないギリギリのところだ。
それが乾いていて、かつ、すこーしだけ湿っているような独特のサウンドを生んでいて、ギターを聴いているだけでとても気持ちいい。
この2ndはジョンのブルージーなギターを存分に楽しめる内容となっているから、プレイヤー型のリスナーは1stより2ndの方が好き!という人が結構いたりする。
確かにこのアルバムのギターは、フレージング、サウンドメイク等、いわゆるロックギタリストのお手本となるものだ。
だからそういう意味でとても聞き応えのあるアルバムだ。
ちなみに僕は、1stも2ndももちろんどちらも好き。
どちらのアルバムでもジョンの素晴らしいギターを聴くことができるからね。
それにしても、このバンドほど1stと2ndが別物のバンドは珍しい。
ジョンのギターなんか本当に別人のように違うんだから。
The Stone Roses
「The Stone Roses」
「Second Coming」
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