兄さんが退院して3日が過ぎた。
元気でという挨拶はしたくなくて、病院を出ていく兄さんにこっそりついて行った。
隠れたり歩いたりしている間、兄さんは長い廊下を歩き、病院の外に向かっていた。
僕がいつも立ち止まる、あの地点、非常階段の辺りを兄さんは何の気なしに通り過ぎ、ドアに向かって歩いた。
僕は兄さんの後ろ姿をながめた。
知らないうちに足を止めた状態だった。
あと5歩は先に進める地点で僕は立ち止まっていた。
省略…
ホソク兄さんがいたベッドには、すでに別の患者が来ていた。
目を閉じたが眠れなかった。
兄さんが退院する直前に言った言葉が何度も頭に浮かんだ。
『ジミン。ここから出よう』あの時、兄さんは今まで一度も見せたことのない複雑な表情を浮かべていた。あんな表情も、あんな言葉も初めてだった。
どう受け止めたらいいのか分からず、僕はもじもじしながら立ちつくしていた。