戦争の終り、

サイパン島の崖の上から

次々に身を投げた女たち。


美徳やら義理やら体裁やら

何やら。

火だの男だのに追いつめられて。


とばなければならないからとびこんだ。

ゆき場のないゆき場所。

(崖はいつも女をまっさかさまにする)


それがねえ

まだ一人も海にとどかないのだ。

十五年もたつというのに

どうしたんだろう。

あの、

女。


石垣りん