カランコロン♪


「殺してやる」

僕の目の前には目を血走らせて日本刀を携えた男が立っていた。その男を妻であろう女性と、母親と思われる女性の二人が必死に止めている。
ちなみに妻であろう女性は妊娠しているようだ。お腹が膨らんでいて、妊娠8カ月ほどといったところであろう。

なんでこんなことになったのか。振り返ってみたいと思う。

その日、僕はいつも通りアルバイトに精を出していた。シカゴピザ山科店という宅配ピザ屋のバイトだ。いつもと違うのは店内にエリアマネージャーと呼ばれる本部の社員と、今日からこの店に配属された新しい店長がいる、という点だ。
僕が働いていた山科店は長らく店長が不在の店舗であった。もうすっかりベテランアルバイトであった僕は店長代理という名誉あるポジションに就いていた。アルバイトながらシフトを組んだり、発注やその他事務処理を任されていたのだ。いわゆるバイトリーダーってやつだ。
かなり面倒くさい業務ではあったが、店長代理手当がもらえたので、一人暮らしの僕にとってはありがたいポジションだ。
そんな店舗ではあったが、いよいよ店長が久しぶりに配属されることになった。僕の長い店長代理期間も昨日でおしまい。今日からはまた一アルバイトとして気楽に働く、そんな一日であった。

「店長代理手当がなくなるってことは収入がグッと下がるな。これはいよいよ俺も就職活動を始めなきゃいけないか」などと考えながらピザを運ぶ。宅配ピザの仕事は一旦注文が入り、デリバリー業務が始まるとバイクでのんびり一人の時間を楽しめるので、僕は非常に楽でおいしい仕事と思っていた。ちょっと遠い場所への配達なら行って帰ってもう一時間経過、なんてこともあるしね。

 

 

〜②へ続く〜



カランコロン♪