カランコロン♪
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そしてディナーの時間帯に突入し、ぼちぼちと店舗が忙しくなった。僕は引き継ぎ業務に一段落をつけ、またデリバリー業務へと戻った。
とある配達業務を終え店舗に戻ると新しいピザが焼きあがってデリバッグにセットされていた。
「青山さん、次これよろしくお願いします」と新店長が告げた。注文票を見るとここから10分程で配達できる住所で新規のお客様からの注文であった。配達予定時間にもかなり余裕がある。僕は「了解です」と答え、その注文をバイクの荷台に乗せ出発した。
鼻歌を口ずさみながらバイクを走らせる。気候もあたたかく心地よいドライブだ。
長年バイトしている僕は当然道を間違えることもなく裏道を駆使し、難なく目的地へとたどり着いた。注文者はとある団地の一階に住んでいた。
インターホンを鳴らす前に伝票と表札の名前があっているかを確認する。そのついでにデリバッグの中身も確認した。すると注文票にはMサイズのピザ一枚とサイドメニュー(ポテト)の記載があるのにピザしか入っていなかった。
僕はファインプレイ!と自分を褒めた。商品を渡すタイミングで「あれ?一品忘れている」とならずに事前に対策が打てるのだ。さっそく携帯電話を取り出し、店舗に電話を掛けた。
電話にはエリアマネージャーが出た。
「あ、もしもし、青山です。今到着して商品確認したところポテトが入っておりません。まだインターホンは鳴らしてないのですがどうしますか?」
「了解。今から作るから先にとりあえずピザだけ渡しておいて。10分くらいで届けに行けます、と伝えて」
「わかりました。よろしくお願いします」
電話を切った僕はインターホンを鳴らした。「はい」という軽やかな声で玄関から出てきたのは20代半ばほどの女性であった。身重らしくお腹がぽっこりと出ていた。僕は最初にまず謝罪をした。
「すみません、こちらの商品なのですが、ご注文されていたポテトをこちらのミスで入れ忘れておりまして。さきほど店に連絡し、今作っておりますので、すみませんがポテトだけあと10分ほどお待ちください」
すると女性は笑顔で「あ、全然大丈夫ですよ。ありがとうございます」とピザを受け取って代金を支払おうと財布を取り出した。その時、奥の部屋から「ピザ来たんけ?」と30歳前後の男が出てきた。旦那であろうその男性は煙草をくわえながら妻に近づいた。
妻は「ピザ届いたんやけど、ポテトを持って来るの忘れて今作ってくれてはるねんて」と言いながらピザを旦那に渡した。すると男が突然怒りだしたのだ。
「どういうことやねん、こら!」
~④へ続く~
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