カランコロン♪


前回からの続き。
春から始めた初めての一人暮らしもそろそろ1年が経とうとしていた。隣人から睨まれたり上の階にクレイジーな人間が住んでいたり大家に10万円請求されたりと色々なことがあった1年が終わろうとしていた。
手探りで始めた一人暮らしも冷蔵庫を皮切りにオシャレな家具を購入する余裕も出てきてだいぶ板についてきたな、と思っていた。そんなある日のこと。

夕方帰宅した僕は扉に何か貼られているのを見つけた。随分と久しぶりの貼り紙である。
最近は物音を立てずにひっそりと暮らしていたものであるから何が書かれているかまったく予想が出来なかった。どれどれ。

「夜に料理の音、まな板で野菜を切る音がうるさい。時間を考えて調理しろ。20時以降に料理するな」

なんと!窮屈だと思いつつも一生懸命静かに暮らして半年、とうとう料理の音、つまりは生活音まで文句を言われるようになったとは!
貼り紙の筆跡から犯人は303号室のアイツであることは明白である。おそらくアイツは年金暮らし、仕事もなくいつでも料理をする時間があるのであろう。ただ僕はフリーターと言えど仕事があるもので仕事を終えて帰宅してから料理をするので確かに
21時とか22時に料理をすることも多い。しかし料理の音がうるさいとは。真夜中に洗濯機回すとか掃除機かけるとかならわかるが料理の音とは。「重箱の隅をつつく」とはこのことか。

おそらくアイツは僕に文句をつけたい、しかしなかなか静かに過ごしている僕は何も騒音を出さない。ならばこれだ!と料理の音に目を付けたのであろう。裏を返せば料理の音以外につけいる隙がなかったということである。

麻雀とかしてうるさくしてすみませんと言った時に「いいのいいの、若い人はどんどん騒いで」と言っていた人と同一人物とは思えないほどのクレーマーである。

さっそく大家さんに電話をした。「おそらく303号室の人だと思いますが料理の音がうるさいと貼り紙をされています。でも僕も生活があるので料理しないと生きていけません。調理も特別な器具を使って騒音が出る、なんて調理法ではなく一般的な調理しかしていません。これは問題でしょうか?」と聞くと「いえ、それはさすがに生活音なので料理するな、とはなりません。それぞれの生活時間もあることなので気にしなくて結構です」と言ってもらえた。この辺りで大家さんも303号室の住人がアタオカだと気付いたのかもしれない。
大家のお墨付きももらえたので(当然だが)気分もハレバレ。変わらず生活を続けることができるようになって嬉しい!と思った春の日の出来事。初めて隣人に勝てた気がした。

続く。長かったご近所(トラブル)物語シリーズも次回いよいよ最終回。最後までお楽しみに!


カランコロン♪