エレーナ・オブラスツォワ

Elena Obraztsova 

1939~2015。レニングラードに生まれる。1954年から1957年までタガンログのチャイコフスキー音楽大学で学び、1958年、レニングラード音楽院に進学。1963年、ボリショイ劇場に『ボリス・ゴドノフ』でデビュー。1977年、ミラノ・スカラ座のシーズン・オープニングでアバドを指揮者として『ドン・カルロス』のエボリを歌う。以後、各地の有名歌劇場でパヴァロッティ、サザーランド、ドミンゴなどと共演。

 

美声と力強さを兼ね備えた実力派のメゾソプラノ。ただし、声の質が非常に重く暗いため、性格俳優的な脇役しかできない。あまり話題にのぼる人ではないので、出演しているCDを探すのに苦労する。しかし、わざわざ探して聴いてみるだけの価値は十分にある。

 

 

(1)ヴェルディ『アイーダ』 アバド指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団 グラモフォン1981

オブラスツォワ(アムネリス)、リッチャレッリ(アイーダ)、ドミンゴ(ラダメス)、ギャウロフ(ランフィス)、ライモンディ(エジプト王)、ヌッチ(アモナズロ)

おそらくオブラスツォワの出演しているCDの中で最も有名なものがこれ。一見して豪華なメンバーだが、このオペラに限って言えば豪華メンバーのCDは全然珍しくないので、ただそれだけの理由でオススメするというわけではない。ここで注目すべきはオブラスツォワとリッチャレッリの組み合わせで、これはまさしくドンピシャという感じ。だからこそ数ある『アイーダ』のCD中でもオススメできるのである。

 

(2)ヴェルディ『仮面舞踏会』 アバド指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団 グラモフォン1980

オブラスツォワ(ウルリカ)、ブルゾン(レナート)、ドミンゴ(リッカルド)、リッチャレリ(アメリア)、グルベローヴァ(オスカル)

ウルリカはオブラスツォワにぴったりの役である。アバド・グラモフォンのオペラCDの例に漏れず、メンバーは大スターで固めているが、ウルリカのような性格俳優的な役柄にオブラスツォワのような重みのある実力派を配することで、このCD全体の完成度をぐっと高めていると思う。

 

(3)ヴェルディ『リゴレット』 ジュリーニ指揮 ウィーンフィル グラモフォン1979 1979
オブラスツォワ(マッダレーナ)、カップッチッリ(リゴレット)、ドミンゴ(マントヴァ公爵)、コトルバス(ジルダ)、ギャウロフ(スパラフチーレ) 

マッダレーナにオブラスツォワを配するとは、これまたなかなか憎い配役ではないか。ただ漠然とスター歌手を揃えましたというだけではない。よく考えられた手抜きの感じられない配役。

 

 

 

・・・オブラスツォワの演じるアズチェーナやエボリなども聴いてみたいものだが、見つけることができなかった。

 

 

 

 

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