フランコ・コレッリ
Franco Corelli

1921~2003。イタリアのアンコーナに生まれる。少年時代から美声で知られ、声楽はほぼ独学で会得したという。1951年、スポレート歌劇場のコンクールでラダメスの「清きアイーダ」を歌って優勝。さっそくスポレート歌劇場の公演で『カルメン』のドン・ホセを歌ってデビュー。その名はイタリア中に知れわたり、1954年、ミラノ・スカラ座にカラス主演の『ヴェスターレ』でデビュー。その後、メトロポリタン、ウィーン、コヴェント・ガーデン・・・と世界中の歌劇場を次々と制覇していった。1960年代イタリアオペラ最高のテノールとして君臨した。

輝かしい高音域と並外れた息の長さをもつ。かつ190センチの長身と歴代オペラ歌手随一ともいえる類まれな美貌。まるでスターになるべくしてなったような人である。が、生前は派手な性格と奇癖によって毀誉褒貶が激しかったらしい。レパートリーはイタリアオペラを中心にきわめて広いが、基本的にはリリコ・スピントで、あんまり重いものは合わないようである。その見栄えのする容姿と美声によって、ステージでは大活躍したらしいが、そのわりにCDはあまり多くない。最近、ライブ盤が多くデジタル化されているようだが、かなり音質が悪いようである。



(1)プッチーニ『トゥーランドット』 ブラデッリ指揮 ローマ国立歌劇場管弦楽団 EMI1965 
コレッリ(カラフ)、ニルソン(トゥーランドット)、レナータ・スコット(リュウ)、ボナルド・ジャイオッティ(ティムール)
コレッリは1958年にニルソンと共演した『トゥーランドット』で世界中にその名を轟かした。以後、コレッリとニルソンとのコンビは有名で、中でも、このCDは指揮と録音の点でとくに優れていると思います。『トゥーランドット』の名盤としても聴いておくべき。

(2)レオンカヴァレロ『道化師』 マタチッチ指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団 EMI1960

コレッリ(カニオ)、ルシーン・アマーラ(ネッダ)、ティート・ゴッビ(トニオ)
コレッリのカニオはあまり注目されていないようだけど、かなりいいと思います。ルシーン・アマーラのネッダもゴッビのトニオもよい。オススメ。
 

(3)ベルリーニ『ノルマ』 セラフィン指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団 EMI1960
コレッリ(ポリオーネ)、マリア・カラス(ノルマ)、クリスタ・ルートヴィヒ(アダルジーザ)、ニコラ・ザッカリア(オロヴェーゾ)、ピエロ・デ・パルマ(フラヴィオ)
これは本来ならカラスの名盤というべきだろうけど、コレッリも素晴らしい。ルートヴィヒもいい。コレッリの出ているCDの中ではやはり上位に挙げざるを得ない。いまだにこれに勝る『ノルマ』はないようである。

(4)ヴェルディ『イル・トロヴァトーレ』 シッパース指揮 ローマ国立歌劇場管弦楽団 EMI 1964 
コレッリ(マンリーコ)、ガブリエッラ・トゥッチ(レオノーラ)、ジュリエッタ・シミオナート(アズチェーナ)、ロバート・メリル(ルーナ伯爵)
これはこのオペラのベストではないと思うが、コレッリの出演したCDとしては挙げておくべき一枚でしょう。

 

その他に、人気の点では次の二つがありますが、

(5)プッチーニ 『トスカ』 マゼール指揮 聖チェチーリア音楽院管弦楽団 デッカ 1967
コレッリ(カヴァラドッシ)、ニルソン(トスカ)、フィッシャー・ディースカウ(スカルピア)

(6)ヴェルディ『アイーダ』 メータ指揮 ローマ国立歌劇場管弦楽団 EMI 1967
コレッリ(ラダメス)、ニルソン(アイーダ)、グレース・バンブリー(アムネリス)、マリオ・セレーニ(アモナスロ)

この二つは、とにかくコレッリとニルソンのコンビでCDを出せば売れるだろうというプロデュース側の思惑が見え隠れするような気がする。ようするに、『トスカ』と『アイーダ』のCDとしては他にもっといいものがあると思う。

 

(1)~(3)は絶対でしょう。とにかく、コレッリの甘く張りのある美声は一度は聴いておかなければならない。

 

 

 

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