カーティア・リッチャレッリ
Katia Ricciarelli

1946~。イタリア、ヴェネチア地方の田舎ロヴィーゴに生まれる。物心ついたときからオペラ歌手を目指したという。家が貧しかったので、喫茶店やレコード機器の工場で働き、18歳のときヴェネチアの音楽学校に通い始める。1969年、マントヴァ歌劇場で『ボエーム』のミミでデビュー。1971年、イタリア放送の『ヴェルディ・テレビ・コンクール』で優勝し、このとき聴衆から熱狂的な拍手喝采をうけ、一躍有名になった。1973年、『修道女アンジェリカ』でスカラ座デビュー、『ボエーム』のミミでコヴェント・ガーデン、デビュー。1975年、やはりミミでメトロポリタン、デビュー。わずか数年の間に世界の名だたる歌劇場を席巻した。

1980年代イタリアを代表する名ソプラノで、フレーニと双璧をなす。しかし、フレーニとはかなり異なるタイプである。フレーニはあくまで温かく柔らかなリリコであるのに比べ、リッチャレッリはやや硬質で冷たく鋭い声質を持つ。高音域が美しいが、いまいちリリックとはいい難い。

 

1970~80年代のヴェルディ、プッチーニのメジャーレーベルCDのタイトルロールはフレーニとリッチャレッリがほぼ独占しており、選択の余地がない。しかしこの二人が出てさえいれば、そのCDの品質はほぼ保証されている。


(1)『ドン・カルロス』 アバド指揮 ミラノ・スカラ座 グラモフォン 1982
リッチャレッリ(エリザベート)、ドミンゴ(ドン・カルロス)、ヌッチ(ロドリーグ)、ライモンディ(フィリップ)、ギャウロフ(大審問官)
 

(2)『トスカ』 カラヤン指揮 ベルリン・フィル グラモフォン 1979
リッチャレッリ(トスカ)、カレーラス(カヴァラドッシ)、ライモンディ(スカルピア)

(3)『仮面舞踏会』 アバド指揮 ミラノ・スカラ座 グラモフォン 1979
リッチャレッリ(アメリア)、リッカルド(ドミンゴ)、ブルゾン(レナート)

(4)『トロヴァトーレ』 コリン・ディヴィス指揮 コヴェント・ガーデン・ロイヤルオペラ フィリップス 1980
リッチャレッリ(レオノーラ)、カレーラス(マンリーコ)

(5)『ラ・ボエーム』 コリン・デイヴィス指揮 コヴェント・ガーデン・ロイヤルオペラ フィリップス 1979
リッチャレッリ(ミミ)、カレーラス(ロドルフォ)


これらはいずれも、それぞれのオペラの決定盤といってよいものであり、一度は必ず聴いておく必要がある。

 

そして次に、



(6)『アイーダ』 アバド指揮 ミラノ・スカラ座 グラモフォン 1982
リッチャレッリ(アイーダ)、ドミンゴ(ラダメス)、オブラスツォワ(アムネリス)、ヌッチ(アモスナロ)、ギャウロフ(ランフィス)、ライモンディ(エジプト王)

(7)『オテロ』 マゼール指揮 ミラノ・スカラ座 EMI 1985 
リッチャレッリ(デズデモナ)、ドミンゴ(オテロ)

 

これらは、一定の水準にあり、悪くはないが、他に強力なライバル盤が数多くあるので、必ずしも強くオススメするわけではない。

 

そして次なのだが、


(8)『トゥーランドット』 カラヤン指揮 ウィーン・フィル グラモフォン 1981
リッチャレッリ(トゥーランドット)、ドミンゴ(カラフ)、ルッジェーロ・ライモンディ(ティムール)、バーバラ・ヘンドリックス(リュー)
このオペラに関しては、ビルギット・ニルソンのイメージがあまりにも強力なので、それに比べると、リッチャレッリのトゥーランドットはどうしてもかすんでしまう。他の配役は優れている。


 

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