idiotな あまりにも
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「ワークソング」(鈴木清剛著)でトランクケースを引いた主人公が(身も心も)逡巡している時に、偶然野原兄妹と会い、駅まで続く道の途中にある甘味処に入ってのシーン
この作品でターニングポイントみたいなものがあるとしたら、意外とここじゃないか‥と、思えたりするんです。甘味処なんですけどねw

以下無断転載↓↓↓

《「みたらしと、黒胡麻餡と、海苔巻きを1本ずつ。それからホットコーヒー」
「……ところてんと、紫芋餡入りの、安倍川餅を、抹茶オレのセットで」
「白玉クリーム宇治金時をひとつ……それから温かい焙じ茶をください」
 注文が済むと野原兄妹はふたたび沈黙した。

 ~数行~

梨人は山に盛られた抹茶色の氷菓子に黒蜜をたらした。里華は竹製の道具をしっかりと掴んでところてんをガラスの器に押し出した。ああ、ヘンな食べものだ。その細長く涼しげな食べものを見て、秋邦は不思議に思った。ところてん自体、久しぶりに見る。それに里華の手つきがボルトを検品する普段の手つきと重なって見えた。竹製のところてん突きから鉄のボルトが飛び出してきても不思議ではないような気がした。
「野原さんって、なんていうのか、ところてんが似合うと思う」
 言っていいものかどうか、秋邦は躊躇しながら言った。
「厳密に言えば、ところてんを突くのが」
「……………」
「緩急の呼吸っていうのか、そういうリズムが板についてる感じで」
 里華は恥ずかしそうに瞬きしてうつむいた。
「これ、ばかにしてるわけじゃなくて、褒めてるつもりなんだけど……」
 秋邦は小声で言いながら自分もうつむき、団子を一つ食べた。顔を上げると梨人と視線が重なり、1人に言ったらもう1人にも何か言わなければいけないように思えてきた。
「野原くんは、いかにも宇治金時だね」
梨人は視線を逸らして宙を見上げた。
「その小豆と抹茶と、白い氷の組み合わせが、ちょっと若者ばなれしてる感じで」
「…………」
「不思議だな。人間と食べものがマッチしてる」
梨人は視線を下ろして秋邦を見つめた。
「じゃあ、社長さんは、串団子ですか?」
 そう言われて手もとの皿を見た。黒胡麻餡と、海苔巻きと、みたらしの、串団子が三本。黒と白と茶色。醤油の色というよりも錆びているようなダークトーン。秋邦はあらためて自分を知ったように感じ、そうかもな、と笑って言った。》

実はこのあとこの場所でひと悶着あるわけなんですが、そこへ到る前のこの場面に私は引かれました…

甘味処でこの3人が居るオフビートな感じが妙にしっくりくるんですよ。主人公・秋邦も何を言いだすのかと思ったら
「野原さん(妹里華)って、なんていうのか、ところてんが似合うと思う」
‥ですよ。
気持ちやら身体がさまよっている秋邦のようすからはこの台詞が精一杯なのかな?
秋邦から誘って入った甘味処で無口な野原兄妹を相手に何を切り出せばいいのかわからない、秋邦自身も一杯いっぱいの状態で気の利いたことを言える余裕もない‥そんな感じを受けました。

まっシーンへの言及はこれくらいで…

引かれた理由の一方には、ここで挙げられる品々
ガキン頃には苦手だった和菓子も美味いと思えるようになった今でもめったに甘味処には入らない‥そもそも甘味処がどこにあるのか検索しなけりゃあわからない(有名店数軒を除き)。
私が抱いているイメージと少し違うのがこの作品に出てくる甘味処のメニュー。ラーメンやおでん、素麺まであるという混沌ぶり…(焼き飯をピラフと云って出してくる喫茶店のような甘味処バージョン?)…それともこれがベーシックなスタイルなの?
この作品の3人3様のチョイスがイイですよね‥

個人的には里華の選んだ“ところてん”と“紫芋餡入り安倍川餅”に梨人が注文した“温かい焙じ茶”というのがイイかな‥
著者の意図とは別にこんなことを楽しめるシーン…(なのか?)


食べ物のシーンはもうひとつ(さくらんぼ)あるんだけど、これがまたイイんですよ。いや、こっちの方がイイですよ。このシーンのためだけに映画にしてほしいくらい…。









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その感覚は私も持ち合わせてる‥“スイッチ”とは違うけど、感覚としてはほぼ同じ…
暗黒面の私を吐露してしまった…
ε=ε=ε=

さとうさくら著の『スイッチ』


人の首の後ろのとこに苫子にしか見えないスイッチがあってそれを押すだけでその人が消えてしまう‥いや、押さなくてもそのイメージだけでもその人は消える…
みんな、いなくなればいい……


晴海苫子(26歳)、直毛のミディアムボブで長身、角度によれば美人に見えなくもないが無表情のためイイ印象はもたれない。文字を追うのが好きで好成績だったが試験は苦手で肌に合わない女子高・気乗りしない短大の日を抜け、編集の仕事を望んで履歴書と面接を繰り返す就活するが何の反応もなく、だんだん自己嫌悪のループの中に落ちていく…

頑張ればなんとかなるとも思わなくなり、恋愛のチャンスも逃し、友人さえなく、独りに慣れきり、完全に自分を投げていた。
そうしてたどり着いたビル清掃のバイト、苫子の新しい日々が始まる…

誰とも何とも心通じ合わさず生きる苫子が、誰かと接し何かに触れることで変わり始めていく苫子。周囲の人と彼女の生活を軸にして自身の否定から肯定へ移り変わる瞬間が訪れるまでを描いた作品。

なんだろう…ヨカッタです。

出だしからしばらくの様子だと完全に負のエネルギーが充満した展開なんだとばかり思っていたんだけど、ビル清掃のバイトに就いたあたり(小説のまだ入り口近く)で苫子に僅かな変化が見えたので、そこからは一気に読めてしまえました。

人と接したり、何かを体現することで変化していく主人公ですが、その変化もなだらかじゃないんです。確実に右上がりで変化しない。乱高下する苫子がなんとももどかしいのです。イライラして膝を揺すりタバコを吸う苫子や誰かの首のスイッチを探してるのシーンは痛々しく悲しい。
それだけに終盤に訪れる“肯定”のシーンは、タイトルの「スイッチ」はこちらにも掛かってるのではと思わせるくらいに一気に浄化される思いを味わえました。

たまに場面に応じるかのように描写される服装やメイクが面白い。
“場面に応じる”って言ってしまったけど、それは違うかな。その場面が始まる時にはすでにその服装そのメイクになってるんですよね。
これは誰にでも経験があると思うのですが、仕事でもプライベートでも何かをする前に服装(メイクは主に女性)を気分やこれからの行動に合わせるでしょ。ところが何回に一度は「あー、なんだか違ったなぁ」って思うことありますよね。思わぬ精神状態になったり予定以外の行動を迫られたりしたら、服装(やメイク)を決定し時点とは落差が生じてしまって落ち着きが悪いというか、ハイであろうがローであろうが不安定な感じ…。あの感じが伝わってくるんですよ、主人公が見えない不安感や相手の気持ちに翻弄されるみたいに身を包むものと落差を生じイライラしたり怯えたりするのが。
ほんの僅かな記述ですがうまく効いているように思えました。際立ってオシャレではないボーダーなところがまたイイのでしょうね。誰からも離れてしまってるけど意識はしてるっていうややこしい苫子が見えてきそうでした。

あと苫子を取り巻く人がイイ味出してます。出会った時の(苫子の目を通しての)印象から刻々と変化をしていくのは面白かったです。彼女彼らも苫子とは違うのだけど、しんどくてボーダーにいる人たちなんだと不思議な連帯感は読み手の側の思い。たぶんヘコんだりイライラしてる時の苫子にはまだそんな余裕はなかったはず…その時が訪れるまではね。

最終的に予定調和って感じなんですが、その部分に言及してしまってもつまんないし、それ以上の風通りのイイ気持ちを味わえるならそれでヨシってことで‥ 










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このオレオはかなりカロリー高めなので食べるのはあれだけど…



売ってたら買うかな‥オブジェに


ヘテロですが‥
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