『REVERSE』★★★★☆
著者:石田 衣良
出版:中央公論新社(中公文庫)
価格:590円+税
《あらすじ》
どうして、わたしたちってこんなふうに話があうのかな――。互いに性別を偽ったまま、千晶と秀紀は、ネット上で深く心を通わせるようになるが……。年齢や性別といった現実(リアル)な枠を取り払ったところに生まれる関係を鮮やかに描き出す、全く新しい恋愛小説。
《ワンシーン》
「ぼくはずっと思っていました。男も女もほんとうは、それほど違わないはずだって。男のなかに女がいて、女のなかに男がいる。それが当たり前なんじゃないかな。千晶さんとなら、その両方であることを隠さないでつきあえるんじゃないか。ぼくはこれからずっと千晶さんを支えていきたいと思います」
《感想》
まず、私は性転換(男→女のみ)や男装女装といったものが大好きです。この本を手に取ったのも“ネット上で性別を偽る”という設定からでした。
『REVERSE』は千晶の視点と秀紀の視点が交互に展開されます。二人には似ている点がいくつかありますが、私生活での接点は全くありません。何せ、お互いに性別を偽っているのですから会えるはずもないのです。
千晶は真面目な仕事人間。サッパリしていて男らしいです。一方の秀紀は優柔不断でヘタレっぽい。女の子の前では緊張するらしく、まともに話すらできません。まるで性別を間違えて生まれたかのような二人です。
私はどちらかというと千晶や秀紀側の人間です。恋愛にあまり興味がないところが。異性に対しても気になるな、程度で本気で好きになった経験がありません。だからといって、異性に興味がないわけではないので、ただ単に機会がないだけでしょう。そんな私には、共感できる場所が多々ありました。男だから、女だからと決めつけるのは気分が悪いですよね。まるで私個人の意思は関係がないかのようです。
秀紀のセリフにある「男のなかに女がいて、女のなかに男がいる。それが当たり前なんじゃないかな」という言葉。この言葉に、私は成程、と思いました。程度の差こそあれ、人は誰でも男の部分と女の部分をあわせ持っている。ですから、そういった事を含めて全てを理解し合う事ができたらどれだけ幸せなのでしょうか。そう思わずにはいられない作品でした。
