「Beppuがくる、Beppuがくる」
道に並んでみる人のよさそうな人達が私にむかって叫ぶ。
「もうくるらしい」「なぜ分かるんだ?」
誰かが無線を傍受しているらしい。まさにスパイ映画さながらだ。
日本から応援に来たと言ったものだから、
自分たちの応援する選手はさておき私に協力してくれるらしい。
一緒に行ったイギリス人もフランス人も少し怒っている。
「ずるい」、年中ヨーロッパにいるくせにって。
自分の家から椅子をもってきて私にすすめる。
下手な英語で(私とてけして上手じゃないが)
「すわれ! みる」
「笑っちゃいけないよ」
まったく!イギリス人のダニエルはふざけてウィンクする。
今度はなにか分からぬ酒ビンを持って来て「家、のむ」
またもやダニエルが小声で
「のんだ方がいぞ、自家製のまずいお酒であってもな」
接待を受けているうちに
「Beppuがくる」の合唱が始まった。
みんな私にむかってBeppu Beppuと叫ぶ。
ありがたいような恥ずかしいような。
私のまわりには近くに住むフランス人でいっぱいになった。
こんなとき本当にBeppuがやってきた。
輝かしくりりしく、ほかの選手は目に入らなくなった。
なんだか胸が熱くなり、ちょっとやそっと応援したんじゃだめだ、
こんなとんでもない石畳を走っているんだぞ、それも狩猟民族と戦って。
(でもね、いやに郊外へ出るとフランスは畑が多くて
まるで農耕民族じゃないのと思えるのが不思議)
もっと応援してあげたい、ひとりの力じゃとても無理。
みんなもっともっと応援しよう
Radio Shackにいる別府選手を。
3時間以上も車で走って応援に来たかいがあった。
フランスでがんばってる別府選手を忘れちゃだめだ、
なかなかできることじゃない。
彼の夢や努力を応援したい。


パリルーベ