宵越しの銭は持たぬ気っ風のよさ
彼は出会ったときからそうだった。
あるものは全部あげる。ほしいものがあるなら無一文になっても買ってやる。
明日のことは明日考える。今はただ今日のことだけ。
おまえが望むなら全部くれてやる、捨ててもやる。
来るかもわからない明日のことなど何も構わずに頓着しなかった。
死ぬときあの世に銭を持って行くわけでもなし、人を連れて行くわけでもない、
ただ剥き身で死んでいくだけなのだと、彼はとうに知っていた。
... 100年もすれば自分のことを知っている人間はこの世にいない。たった100年で、だ。
その日の己の限りを出し尽くしてただ生きる。
私は今のこの狭いアパート暮らしを愛している。
彼が変わらず宵越しの銭など頓着しないその人間のぜんぶを、
私は、
愛している。
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