その日はもう夜も遅かったが、俺は電話で真人と絵玲奈に呼び出しの連絡をした。メールではなく、言葉で直接頼みたかったのもあった。

「真人か、ちょっと話したいことがあるんだ。」

「絵玲奈、どうしても話したいことがあるんだけど…。」

2人とも、呼び出しの理由を尋ねてきたが、そこは当日に話すから、今は聞かないでくれとお願いし、夜明け前の1時間ほど時間をもらいたいことを話した。

訝しまれつつも、事前に家族に話し、朝食前には戻ることを条件に、最終的には2人とも了解をもらうことができた。

そして当日、5時になる少し前に自然に目が覚め、簡単に身支度をした。そして、居間のテーブルで眠ってしまっていた明日香に毛布をかけてやり、再び電気を消すと、俺はそっと家を出た。

その頃、真人はわけもわからず、とりあえず指定された場所に向かっていた。同じく、絵玲奈は少しだけ淡い期待をしつつ、そこへ向かっていた。2人は途中で合流し、ともに俺に呼び出されたということを知った。

「何か珍しいものでも見つけたのか?」

「隠れスポットのような、とっておきの景色でもあるのだろうか?」

そんな推測をしながら、真人と絵玲奈は俺が指定した場所に近づいてきた。

その場に着いた直後、2人は言葉を失った。目の前の景色が、現実のものだと受け入れがたい様相であったのだ。

「大事な話があるんだ。」

元の世界へとつながる蒼い空間を前に、俺は真人と絵玲奈に、今まで話せずにいた真実を、ようやく話すときが訪れた。