「あれ、亮介君?理紗さんの知り合いなの?」

「いとこだよ、理紗さんは。妹の明日香が家出してきたんで、連れ戻しにきたんだけど、帰らないの1点張りでな。しょうがないから、明日香の好きないちご大福でも買って、機嫌直してからもう一回やってみるよ。」

そう言って、俺は近くのコンビニに向かった。1時間くらいで、もう1回戻ってくる予定でいた。その頃、4人はガールズトークに花を咲かせていた。恋愛トークに話が移り始めると、明日香が絵玲奈に、以前から気になっていたことを尋ねた。

「絵玲奈さんって、お兄ちゃんのこと好きなの?前には良く一緒に出かけているようだったけど。」

尋ねてきた明日香に、丁寧に言葉を選んで、絵玲奈が答えた。

「好きっていうよりも…うーん、一緒にいて安心できる人かな?」

「どういう意味?私にはまだ良く分かんない。」

「信頼できる親友、って言い方のほうが、明日香ちゃんにはしっくりくるかな?」

顔を赤らめながら、そう話す絵玲奈に、明日香はさらに突っ込んだ質問をした。

「手をつないだりとか、キスしたこととかあるの?もっと大人がするようなことしたりとか…!?」

「ちょっと、恥ずかしくなっちゃうから、あまり聞かないでよ…。私たちは、まだそこまでいっていない、手をつないでくれたまでだわ。」

明日香の質問に、絵玲奈は完全に動揺していた。

「絵玲奈さん、お兄ちゃんのこと、本当は好きなんじゃないの?さっきから、ずっと顔赤くなってきているし。それなら、付き合っちゃえばいいのに。絵玲奈お姉ちゃん、すごく可愛いし、スタイルいいし、おしゃれだし、私も、絵玲奈さんみたいなお姉さんに早くなりたい!お兄ちゃんにはもったいないくらい。」

憧れの眼差しで、明日香は絵玲奈を見ていた。明日香くらいの年齢にとって、高校生は大人への階段を上り始めている、まさに「理想のお姉さん」であった。

「亮介君にその気が無いから、それは無理よ。」

「えー、お兄ちゃんなんて全然冴えないのに、超・上からじゃん。何かムカツク。」

やや不機嫌にそう言う明日香のそばに行き、絵玲奈は答えた。

「亮介君には亮介君の、私たちには知らない事情があるのよ、きっと。それより、亮介君、心配していたよ。」

そう言う絵玲奈に、明日香はふくれっ面で今日あった不満な出来事を話した。

「お兄ちゃんも、お母さんも関係ない!だって聞いてよ、みんなが髪染めたりピアスしたりして、大人っぽく見せているのに、私はだめだって…。そんなんじゃ、みんなに乗り遅れちゃう!」

そう愚痴をこぼす明日香の頭を撫でながら、絵玲奈は自分の考え方を話し始めた。

「そうね、私もそうだけど、明日香ちゃんも、大人に見せたくなる年よね。その気持ち、すごく分かる。でもきっと、無理に背伸びするよりは、そのままの自分でいたほうが良いと思う。その方がきっと、心も体も落ち着いて、もっと魅力的な女性になれると、私は思うの。」

それは、絵玲奈自身の、数ヶ月前の苦い経験を乗り超えた経験から出てきた言葉であった。自信を持ってそう言い切った絵玲奈が、明日香にはかっこよく映っていた。そして、明日香は、ますます絵玲奈に興味が湧いてきた。

「ねえ、もっと絵玲奈さんのお話聞かせて!」