「絵玲奈、来ていないか!?」

「来ていないわよ。なによ、血相変えて?」

拓海からの携帯画面を見るやいなや、俺はすぐさま教室を飛び出し、A組に走っていった。

当時と同じように、しばらく前から、絵玲奈には、良くない噂があるという話は耳にしていた。だが、後になって俺が知っているのは、それが辛らつな内容であり、デマであるということくらいであった。そして、携帯画面に映し出されていたその内容は、俺の想像をはるかに上回っていた。


『絵玲奈、すごく遊んでいるらしいよ!』
『見た目は清純そうなのに、中身は獣みたいだな』
『やだ、マジで!?』

昼休みにもう一度着てみたが、絵玲奈は見当たらず、その日は学校を休んでいるようであった。

昨日の今日ということもあり、俺はまた明日、出直してくることにした。しかし、次の日も、また次の日も、絵玲奈は学校に姿を見せなかった。携帯電話に電話しても、すでに着信拒否にされてしまっていた。

打つ手がないまま、5日が過ぎた。一刻も早く絵玲奈のフォローをしないとという気持ちだけが焦り、空回りしていた。

そんなある日の夕方、俺は部活の後、コンビニに寄ってから帰っていた。すると、近くの公園にあるブランコで、うずくまっている絵玲奈を見つけた。髪を脱色し、不慣れな化粧と不似合いな派手な服装をしてはいたが、間違いなく絵玲奈であった。

絵玲奈は泣いていた。一体、いつからそこにいて、どれくらい涙を流していたのか。それを想像すると、胸がしめつけられる思いがした。