俺は迷っていた。このままバトミントン部への入部を諦めれば、恐らくはあの頃と同じ高校生活になるだろう。それはそれで不満はないのだが、本当でそれでいいのだろうか…。

その考えが、どうしてもぬぐいきれなかった。

教室のベランダ越しに、俺はぼんやりと教室の外を眺めていた。部活に青春を燃やす彼らを見ているうちに、自分の中にある思いが沸き起こってきた。

「このままで、本当にいいのか…?せっかく戻って来れたのに、また俺は、何もできずにいるのか?」

その夜、俺は帰ってくるなり、バトミントン部への入部を母親に頼み込んた。

「母さん、すまないけど、やっぱり俺、バトミントン部に入りたいんだ!」

「何バカなこと言っているのよ、勉強はどうするのよ!周りが3年間必死になっているのに、他の子に遅れてしまうじゃない。」

猛反対する母親に怖気づきそうになったが、今ここで乗り越えないと、こちら側での生活にも悔いが残ると考え、俺は説得を続けた。

「大丈夫だって。先輩たちだってちゃんと受験を乗り越えているんだから、やれるはずだよ!」

「そんな悠長なこと言っていたら、あっという間に大きな差が開いてしまうって言っているのよ。それが分からないの?」

「分かっているさ。でも、やらないで後悔することだけは、絶対に嫌なんだ!」

「…勝手にしなさい!成績がひどかったら、すぐにでもやめてもらうからね!!」

心配する気持ちが、当時以上に分かる分、申し訳なさで後ろ髪を引かれるような思いを抱きつつ、俺は一抹の不安とともにバトミントン部へ入部した。

俺は中学時代にも、バトミントン部に「一応は」所属していた。しかし、他校に比べて、ものすごくゆるい部活であったため、練習量についていけるのかという心配があった。そして、得てして、そういった不安は的中するものであった。