がんばらない、でも諦めない -49ページ目

がんばらない、でも諦めない

主にエネルギー、廃棄物問題について書いてます。
ブログやツイートは予告なく訂正・削除する場合があります。引用されたものが私のブログやツイートと異なっている場合、このブログの内容を正とします(2015/08/27)


平成26年4月11日にエネルギー基本計画が閣議決定されて約半年ですが、今進められている原発再稼働や最終処分場建設地の選定など、このエネルギー基本計画に沿って進められているのだなあと感じました。

一度、読んで頂けたらわかると思います。

私が気になったところを抜き出してみました。

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(2) 原子力
②政策の方向性
いかなる事情よりも安全性を全てに優先させ、国民の懸念の解消に全力を挙げる前提の下、 原子力発電所の安全性については、 原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、 その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める。 その際、 国も前面に立ち、 立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう、 取り組む。

宮沢経産相が3日に川内原発訪問へ 再稼働に向け大詰め
朝日新聞デジタル 10月31日(金)21時48分配信

規制委 高浜原発審査書案作成へ
NHK NewsWeb 10月31日 20時59分

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このため、 国は、電力システム改革によって競争が進展した環境下においても、原子力事業者がこうした課題に対応できるよう、海外の事例も参考にしつつ、業環境の在り方について検討を行う。
日本経済新聞 2014/8/21 23:58

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原子力災害対策指針に基づき、新たに地方公共団体が取り組む原子力災害対策については、 内閣府特命担当大臣の下で、 原子力災害対策担当部局が、 地方公共団体からの相談窓口となり、 関係省庁とともにこれを支援する。

しんぶん赤旗 2014年10月31日(金)

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その上で、 最終処分場の立地選定にあたっては、 処分の安全性が十分に確保できる地点を選定する必要があることから、国は、科学的により適性が高いと考えられる地域 (科学的有望地) を示す等を通じ、 地域の地質環境特性を科学的見地から説明し、 立地への理解を求める。 また、 立地地点は地域による主体的な検討と判断の上で選定されることが重要であり、多様な立場の住民が参加する地域の合意形成の仕組みを構築する。 さらに、国民共通の課題解決という社会全体の利益を地域に還元するための方策と して、施設受入地域の持続的発展に資する支援策を国が自治体と協力して検討、 実施する。

<宮城最終処分場>加美の作業3度目見送り
河北新報 2014年10月28日火曜日


エネルギー基本計画は、エネルギー政策基本法に基づいて作成されています。

関係ありそうな所を抜き出しておきます。
国民の話を聞くという内容はありません。

エネルギー政策基本法
(国の責務) 

第五条   国は、第二条から前条までに定めるエネルギーの需給に関する施策についての基本方針(以下「基本方針」という。)にのっとり、エネルギーの需給に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。 

(地方公共団体の責務) 
第六条   地方公共団体は、基本方針にのっとり、エネルギーの需給に関し、国の施策に準じて施策を講ずるとともに、その区域の実情に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。 

(事業者の責務) 
第七条   事業者は、その事業活動に際しては、自主性及び創造性を発揮し、エネルギーの効率的な利用、エネルギーの安定的な供給並びに地域及び地球の環境の保全に配慮したエネルギーの利用に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施するエネルギーの需給に関する施策に協力する責務を有する。 

(国民の努力) 
第八条   国民は、エネルギーの使用に当たっては、その使用の合理化に努めるとともに新エネルギーの活用に努めるものとする。 

(相互協力) 
第九条   国及び地方公共団体並びに事業者、国民及びこれらの者の組織する民間の団体は、エネルギーの需給に関し、相互に、その果たす役割を理解し、協力するものとする。

(エネルギー基本計画) 
第十二条   政府は、エネルギーの需給に関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図るため、エネルギーの需給に関する基本的な計画(以下「エネルギー基本計画」という。)を定めなければならない。 
2   エネルギー基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。 
一   エネルギーの需給に関する施策についての基本的な方針 
二   エネルギーの需給に関し、長期的、総合的かつ計画的に講ずべき施策 
三   エネルギーの需給に関する施策を長期的、総合的かつ計画的に推進するた
めに重点的に研究開発のための施策を講ずべきエネルギーに関する技術及びその
施策 
四 前三号に掲げるもののほか、エネルギーの需給に関する施策を長期的、総合的かつ計画的に推進するために必要な事項 
3 経済産業大臣は、関係行政機関の長の意見を聴くとともに、総合資源エネルギー調査会の意見を聴いて、エネルギー基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。 
4 経済産業大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、エネルギー基本計画を、速やかに、国会に報告するとともに、公表しなければならない。 
5 政府は、エネルギーをめぐる情勢の変化を勘案し、及びエネルギーに関する施策の効果に関する評価を踏まえ、少なくとも三年ごとに、エネルギー基本計画に検討を加え、必要があると認めるときには、これを変更しなければならない。 
6 第三項及び第四項の規定は、エネルギー基本計画の変更について準用する。 

鹿児島県薩摩川内市の市議会と市長は10月28日、同原発の再稼動にそれぞれ同意した。次は鹿児島県と鹿児島県知事の手続きに進むわけだが、この手続きは本当に必要なのだろうか。

以下の記事がある
原発の「地元」とは何か
この記事の中に、

電力会社が原発を再稼働するとき、地元自治体の同意を得なければならないという法的な規制はない。
 だが通常、電力会社は原発が立地する市町村、道県との間で原子力安全協定を結んでいる。法的な根拠はない紳士協定だが、原発の新増設や原子炉施設の変更などのときに同意を条件とするなど、自治体に大きな発言権を認めている。
 鹿児島県、薩摩川内市が九電と結んだ安全協定書にはこんな文言がある。
 「九州電力は、原子炉施設及び復水器の冷却に係る取放水施設を増設又は変更しようとするとき、並びに新核燃料、使用済核燃料及び放射性廃棄物の輸送計画(輸送上の安全対策を含む。)を策定しようとするときは、鹿児島県及び薩摩川内市に対して事前に協議する」(※一部を読みやすいように書き換えた)。
 再稼働の可否を判断したり、事前協議したりする規定はないが、電力会社は再稼働を原子炉施設の変更などと同じように扱い、安全協定を結ぶ自治体に再稼働の同意を求めてきた。

とある。

そこで、薩摩川内市と鹿児島県の安全協定を調べて見た。
 薩摩川内市地域防災計画(原子力災害対策編)原子力防災計画資料編(25MB)の7ページから14ページに安全協定と覚え書きが記載されている。
確かに再稼働に同意が必要という文言はない。

では、再稼働の権限は誰にあるのだろうか。

原子力規制委員会の田中委員長は
「新しい規制基準、現行の規制基準に適合しているかどうかだけを判断しているのであって、絶対安全という意味で安全ということを言われるのでしたら、私どもは否定しています」
「稼働させるかどうかということについては判断はしません」
と発言しています。原子力規制委員会記者会見平成26年3月26日速記録4ページ

安倍総理は9月29日招集された臨時国会の所信表明演説
「原子力規制委員会により求められる安全性が確認された原発は、その科学的・技術的な判断を尊重し再稼働を進める」
と発言してます。

再稼働の権限は安倍総理にあるのだろうか。国の所有でない原子力発電所の再稼働を決めることはできるのだろうか。

東日本大震災直後の平成23年5月6日、当時の菅総理は記者会見で「私は内閣総理大臣として、海江田経済産業大臣を通じて、浜岡原子力発電所のすべての原子炉の運転停止を中部電力に対して要請をいたしました」と発言ししています。
要請とはコトバンクによると「必要なこととして,実現を願い求めること。乞い求めること。」とある。つまり、お願いです。

安倍総理も同じで再稼働の要請しかできないのではないのだろうか

原子力損害の賠償に関する法律、第三条には
(無過失責任、責任の集中等) 
第三条   原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。 

また、第十六条には
(国の措置) 
第十六条   政府は、原子力損害が生じた場合において、原子力事業者(外国原子力船に係る原子力事業者を除く。)が第三条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき額が賠償措置額をこえ、かつ、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、原子力事業者に対し、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行なうものとする。 
2   前項の援助は、国会の議決により政府に属させられた権限の範囲内において行なうものとする。 

原賠法で「原子炉運転等の損害賠償は原子力事業者にある」とされているので、再稼働の最終判断は原子力事業者という解釈でいいのだろうか。

そして、原子力事業者が損害賠償の責任を負いきれない時は政府は必要な援助を行うということになっているので、福島第一原発と同様に損害賠償に必要なお金は国民の税金が使われる。

自然災害なら国民負担は理解できるが、原子力事業者が起こした損害賠償を我々国民が負担することは理解できない。


ゴミ弁連会長の梶山正三さんが書いた本「廃棄物紛争の上手な対処法」を見つけたので買ってみました。
読み始めたところですが、気になったところを少し紹介します。

---------以下引用--------

本書の目的と構成から
最終処分場、焼却施設等が自分の住居の近くに建設されようとしたり、廃棄物の不法投棄、野焼きによる悪臭に苦しんでいる人々が、まずどのような行動をすべきなのか。相手の対応によって更にどのような手段を取るべきなのか。このような問題に的確に答えることができる専門家や弁護士は少ない。
本書は、このような問題に悩んでいる人のための手引きないし道標となることを目的に書かれた。読者としては、ごみ紛争に直面している、あるいはこれから直面する地域住民の方々、弁護士等を想定している。しかし著者としては、ゴミ問題に直接関わりのない方々にも広く読んで頂きたいと思う。問題の深刻さと、それが「ゴミ」という一見狭い領域にとどまらず、日本の環境、経済、政治、資源、貿易などに深く関わる重要な問題として認識をもっていただきたいからである。

廃棄物問題の現状から
日本の廃棄物関係法令は基本的にはゴミの「後始末法」である。つまり、排出される量や質は当然の前提で、それ自体を変えることは考えないのである。なお「リサイクル」は排出された後の減量策であるから、排出以前の「発生抑制」とは似て非なるものとして厳に区別しなければならない。
ゴミ発生抑制は、生産と消費の抑制であるが、法的に歯止めはかけてこなかった国の政策は、大量生産・大量消費の見直しについて具体的な政策を採り得なかったのである。ゴミ問題が深刻化する中で、「生産・消費」を聖域にしつつ、国が採った政策は、「リサイクルによる減量」であった。廃棄物政策の中では三流の政策と言われるリサイクルが、あたかも、最善の政策のように宣伝された理由もここにある。
大量生産・大量消費が経済成長を志向する材・政・官の一致した利益であるとすれば、ゴミの発生抑制に歯止めをかけ得ない「垂れ流し」廃棄物政策からの転換されないことも理解できるのである。よく言われる個人の「ライフスタイル」以前に、生産者側の強い圧力が廃棄物問題解決を困難にしている。それを象徴するのが、ある著名な宣伝広告会社の「営業10訓」である
1.もっと消費させろ
2.捨てさせろ
3.無駄遣いさせろ
4.四季を忘れさせろ
5.蔵物をさせろ
6.コンビナートで使わせろ
7.きっかけを投じろ
8.流行遅れにさせろ
9.気安く買わせろ
10.混乱を作り出せ
砂漠の中に壺を埋めて、それをまた掘り出す。このように社会的には労力やエネルギー、資源の無駄遣いにすぎない行為であっても、それが経済成長をもたらすことは、ケインズが説いたところであった。「浪費の経済力」が今日の「ゴミの垂れ流し構造」を招いたのである。

---------引用おわり--------

廃棄物の定義は「汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの」です。気体は入りません。火力発電所や自動車などからは排ガスが放出されています。法律では廃棄物に該当しませんが廃棄物と言えると思います。
物質はリサイクルできてもエネルギーはリサイクルできません。再生可能エネルギーがありますが、太陽からのエネルギー入力があるから再生しているようにみえるだけです。
安倍総理は経済成長を訴えますが、ゴミ問題に経済成長は間違っているという点で梶山さんと私の考えは一致します。

私はこの本をアマゾンの中古本を買いました。(新品は高いので)
梶山さんには著作権料が入りませんが、リデュース・リユースにあたるので許してください。
法的な内容はもちろん、梶山さんは理学博士ということもあり技術的な内容も充実しています。
この本が出版されたのは平成16年で10年が経過しています。私の希望としては、この間に法令は改正されて変わっているし、その後の戦いも知りたいので、最新の法令や経験に基づいて改訂して頂けたらと思います。