川内原発の再稼働の地元同意手続きが進められているが、必要な手続きなのだろうか | がんばらない、でも諦めない

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ブログやツイートは予告なく訂正・削除する場合があります。引用されたものが私のブログやツイートと異なっている場合、このブログの内容を正とします(2015/08/27)

鹿児島県薩摩川内市の市議会と市長は10月28日、同原発の再稼動にそれぞれ同意した。次は鹿児島県と鹿児島県知事の手続きに進むわけだが、この手続きは本当に必要なのだろうか。

以下の記事がある
原発の「地元」とは何か
この記事の中に、

電力会社が原発を再稼働するとき、地元自治体の同意を得なければならないという法的な規制はない。
 だが通常、電力会社は原発が立地する市町村、道県との間で原子力安全協定を結んでいる。法的な根拠はない紳士協定だが、原発の新増設や原子炉施設の変更などのときに同意を条件とするなど、自治体に大きな発言権を認めている。
 鹿児島県、薩摩川内市が九電と結んだ安全協定書にはこんな文言がある。
 「九州電力は、原子炉施設及び復水器の冷却に係る取放水施設を増設又は変更しようとするとき、並びに新核燃料、使用済核燃料及び放射性廃棄物の輸送計画(輸送上の安全対策を含む。)を策定しようとするときは、鹿児島県及び薩摩川内市に対して事前に協議する」(※一部を読みやすいように書き換えた)。
 再稼働の可否を判断したり、事前協議したりする規定はないが、電力会社は再稼働を原子炉施設の変更などと同じように扱い、安全協定を結ぶ自治体に再稼働の同意を求めてきた。

とある。

そこで、薩摩川内市と鹿児島県の安全協定を調べて見た。
 薩摩川内市地域防災計画(原子力災害対策編)原子力防災計画資料編(25MB)の7ページから14ページに安全協定と覚え書きが記載されている。
確かに再稼働に同意が必要という文言はない。

では、再稼働の権限は誰にあるのだろうか。

原子力規制委員会の田中委員長は
「新しい規制基準、現行の規制基準に適合しているかどうかだけを判断しているのであって、絶対安全という意味で安全ということを言われるのでしたら、私どもは否定しています」
「稼働させるかどうかということについては判断はしません」
と発言しています。原子力規制委員会記者会見平成26年3月26日速記録4ページ

安倍総理は9月29日招集された臨時国会の所信表明演説
「原子力規制委員会により求められる安全性が確認された原発は、その科学的・技術的な判断を尊重し再稼働を進める」
と発言してます。

再稼働の権限は安倍総理にあるのだろうか。国の所有でない原子力発電所の再稼働を決めることはできるのだろうか。

東日本大震災直後の平成23年5月6日、当時の菅総理は記者会見で「私は内閣総理大臣として、海江田経済産業大臣を通じて、浜岡原子力発電所のすべての原子炉の運転停止を中部電力に対して要請をいたしました」と発言ししています。
要請とはコトバンクによると「必要なこととして,実現を願い求めること。乞い求めること。」とある。つまり、お願いです。

安倍総理も同じで再稼働の要請しかできないのではないのだろうか

原子力損害の賠償に関する法律、第三条には
(無過失責任、責任の集中等) 
第三条   原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。 

また、第十六条には
(国の措置) 
第十六条   政府は、原子力損害が生じた場合において、原子力事業者(外国原子力船に係る原子力事業者を除く。)が第三条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき額が賠償措置額をこえ、かつ、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、原子力事業者に対し、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行なうものとする。 
2   前項の援助は、国会の議決により政府に属させられた権限の範囲内において行なうものとする。 

原賠法で「原子炉運転等の損害賠償は原子力事業者にある」とされているので、再稼働の最終判断は原子力事業者という解釈でいいのだろうか。

そして、原子力事業者が損害賠償の責任を負いきれない時は政府は必要な援助を行うということになっているので、福島第一原発と同様に損害賠償に必要なお金は国民の税金が使われる。

自然災害なら国民負担は理解できるが、原子力事業者が起こした損害賠償を我々国民が負担することは理解できない。