今日はちょっと真面目なお話など・・・。
学生時代に,ジャーナリズムについてちょっと勉強した経験があります。
その中で,ある言葉を他のモノに言い換えて本来の問題をすり替えてしまうという事に大きな問題意識を抱きました。
例えば,英語では男性の俳優を“Actor”、女性の俳優を“Actress”って言うけど、日本だと特殊な例を除いて,一般的には男優とは言わないですよね。女性の俳優は“女優”というのに。また,女子アナとはいうのに男子アナとは言いません。女性の社長の場合も,女社長と言う言い方はしても,間違っても男社長とは言いません。逆に,職業欄に「家事手伝い」と書けば,暗黙の了解でその対象は全て女性です。
不思議です。
これは,昔にあった“女性は外に出て働くべきではない”という女性差別の名残である事は明白ではあるのですが,いつまで引きずるのでしょうね?
ただ,現在ではこれらの言い方を差別的な意図で使用していないという事は,皆さん御理解頂けるところだと思います。
余談ですが,「水曜日はレディースディ」とかは,男性差別にはならないのかといつも不思議に思います。
職業名の前に“女”をつけるのは,国民性としてそういう感覚が必要無いのか、それとも海外と比べてそういう思想・概念の発達が遅れているのか?ヨーロッパ語族と漢語・日本語族(?)という,言語自体の構造の問題もあるかもしれないけど。
(?=語族について良く分からなかったのでウィキで調べたらハマッタので,このまま。ツッコミ大歓迎。)
そう言えば、ボクが学生の頃は普通に「看護婦」「スチュワーデス」「保母さん」って使っていたけど,最近なのかな? 看護婦を「看護士」、スチュワーデスを「フライトアテンダント」または「キャビンアテンダント」,保母(父)さんを「保育士」って言うようになった。一方で,前出のように「女優」「女子アナ」「女社長」は依然として使われつづけている。
矛盾してます。
因みに,なんかの本で読んだ記憶があるんだけど「潜水夫」とか「掃除夫」なども差別用語だとして「ダイバー」や「清掃作業員(クリーンスタッフ)」などに言い換えられている。(ナンデヤネン。)
一部のアレな団体とか男女差別の問題が底辺にあってのことだと思うけど,言い方を変えても根底にある差別意識を変えないと,差別と言うものはは決して無くなるものではない。
他には,魚の名前で“イザリウオ”,“オシザメ”,“メクラウオ”など,本来はその魚の特徴を言い表したものなんだけど,「イザル」「オシ」「メクラ」等の単語のみが対象となって,何十年も親しまれてきた彼らの名前が消えようとしてます。
差別用語を抹消して,過去に差別自体を無かったことにしよう言う魂胆が見え見えで,なんか納得がいきません。
呆れたのは,キーボードを見ないで打つと言う意味の「ブラインドタッチ」を差別的だと言う理由で「タッチタイピング」と言い換えた事。
実際は,和製英語であるとの理由もあるそうです。また誤解の無いように書きますが,英語の“blind”と言う単語には,本来差別的な意味ありません。(「ウィキペディア 」[タッチタイピング]の項参照。)
先日,この夏世界陸上の開催地のひとつとなる予定の大阪市の長居公園で,ホームレスが行政代執行により強制排除されたけど、要は“外国のお客様に対して自国の恥部を見せたくない”っつー何ともメチャメチャ差別的発想によりなされたものだったんじゃないかと思うのです。
昔はホームレスの事を“浮浪者”って言ってました。ホームレスを狙った殺人なんかの現状を見ても分かるけど、浮浪者を横文字に言い換えて問題の本質をすり替えて曖昧にしただけで、結局問題自体は何も解決はされていない。要は権力側の逃げなんですよね。
公園から退去させられたあの人たちは、今どこに住んでるんでしょうか?
言い換えることによって見えなくなってしまった問題は,このまま忘れるべきなのでしょうか?
不思議です。
【 参考 】
「【行政代執行法】について 」 法律便覧(日本編)
「土曜解説:大阪市のホームレス強制排除 」 MSN毎日インタラクティブ
「差別的語を含む標準和名の改名とお願い 」 日本魚類学会
「はなごよみ 」(個人サイト) ※言い換えをする事で,果たして差別が無くなったかどうかが良く分かります。
【 なんか論文みたいになっちゃったので,とりあえず 】
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