さよならの、代わりに | Theatre MERCURY 公式ブログ

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東京大学と日本女子大学を中心とした学生劇団

初めてとは、何なのでしょうか。



人生は初めての連続だと言います。


確かに、2回目にあった人とも、「2回目にあう」ことは、初めてですし、全く同じことなんて、存在しないのでしょう。


だから、それぞれのできごとに初体験が必ずあって、たくさん思うところが、あるのです。


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初めての新人だけでの公演です。

あるいは、初めての作演出です。


思えば遠くに来たものだ、と思います。


自分たちで、作品を創っていくこと。

自分たちが、執行代となること。


不安と、希望と。成功と、失敗と。いろいろな事どもを積み重ねて、ここまでやってきました。



この3ヶ月弱、ほんとうにいろいろなことがあったなぁ、と思います。


それでも、思い出とは、遠くに来ないと振り返ることのできないものなのでしょう。


ですから、まだ、たぶん、公演を振り返るには、早いのかもしれません。まだまだ、前へと向かって、作品を、創り上げる、途中なのです。


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コクトーからはじめたので、ラディゲで幕引きといたしましょう。

 


真の予感は精神の理解できない深みで作りだされる。だから、予感に従っておこなった行為を、僕たちはまったく間違って解釈してしまうのだ。


―――ラディゲ 『肉体の悪魔』



この公演も、まだ、あるいはこれから先も、意味づけなんてできないのかも、しれません。



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さよならは、別れの言葉じゃなくて、再び逢うまでの、遠い約束…らしいです。


ですから、僕たちも、さよならの代わりに、劇場で、お会いしましょう。


またそれが、次の別れの、始まりなのかもしれませんが。それでもきっと、n回目に皆さんとお会いする「初めて」にも、必ず「予感」は、存在しているはずですから。


 


作演出・音響・web

田中傑