今年は、マリア・カラス生誕100年ということで、彼女の名を冠したコンサートやイヴェントが所々で予定されているようです。が…
実は、カラス生誕から50年遡った1873年に、偉大な歌手が二人誕生しているのです!!

この年の2月25日、つまり150年前の今日、イタリアのナポリで歌劇王といわれた大歌手、エンリーコ・カルーソーが誕生しました。

ナポリの貧しい家庭に生まれ、はじめは聖歌隊で、そして18才から本格的に声楽を学び、21歳でナポリでデビューすると、ミラノ・スカラ座、ロンドンのコヴェント・ガーデン、ニューヨークのメトロポリタンなど、一流の歌劇場で活躍しました。類稀な響きとそれを生かした幅の広い表現音域で、彼の前にカルーソーはなく、彼の後ろにカルーソーはないと言わしめ「歌劇王」の異名を欲しいままにしました。

得意どころは勿論イタリアオペラ、実は歌い崩しがほとんどなく、かなり楽譜に忠実に歌っています。

そしてもう一人、ロシアの大バス歌手、フョードル・シャリアピンがその二週間前の2月13日にロシアのカザンで生を受けました。

力強く、かつ柔らかな美声と、舞台人としての精神、心理的描写に卓越した表現法を引っ提げ、ボリショイ劇場を皮切りに、世界中の一流歌劇場に出演しました。オペラにおける自然な演技の伝統的様式を洗練させたとされ、「歌う俳優」と呼ばれました。
晩年には来日もして、その時、ホテルのシェフに特別に作らせたのが「シャリアピン・ステーキ」です。
何を隠そう、私が声楽道を真剣に歩み始めたきっかけになった歌手でもあります。

実は、カルーソーのことをSNSで綴っていて、もしかしたらシャリアピンも、と思って調べたら…
二人同い年だったとは気づきませんでした。いやはや、失礼致しました…

「歌う俳優」ぶりは歌曲でも発揮され、その中には彼が歌ったことで有名になった曲もたくさんありますが、その真骨頂がこれです。

Tanti Auguri, al nostro Re Caruso!!
Ringraziamo per il suo grandissimo lavoro!!
(われらの王様・カルーソー、誕生日おめでとうございます!! あなたの偉大な功績に感謝します!!)

С днем рождения, наш русский царь!
Спасибо за ваше большое достижение!!
(われらの皇帝閣下(ロシア皇帝が当たり役だった)、…以下同意…)

150歳の"王様"と"皇帝"