友「おめぇはすげぇよ…」

僕「なにが?」

友「だってなんか人のためにやってんじゃん、俺なんかもう死んだほうがいいって感じだよ。だからってお前みたいにやれないしさぁ…」

僕「ははは。なに言ってんだよ」

友「だってそうじゃんよ、俺には生きてる意味なんかねーよ」

僕「もー、じゃあさぁ、これなにか分かる?これさ、この前もらったんだけどさ、この新聞みたいなやつ、今ボランティア関係の人のなかじゃ有名なんだぜ?知ってる?」

友「なにそれ?」

僕「知らないかぁ、ここにはさ、なんかいろいろ訴えてあるわけよ、みんなが自分の日常生活を少しだけ変えて世界をよくしようって感じかな。たとえばー、マイはしを使おうとかさ」

友「あー、俺もそういうとこから始めればいいわけか」

僕「んーまぁそうだけど、まだ続きがあるって、聞けよ、まぁこれなんでも『豪快な号外を配ろう』ってのをキャッチフレーズにしてやってんだけどさぁ」

友「ふーん」

僕「いろんな人がボランティアで配ってたわけ、駅前とかでさ、全部で3000万部らしいぜ?」

友「そんなにたくさん?」

僕「な?びびるだろ?3000万部だぜ?多すぎじゃね?どんなけ金かけたんだって話だぜ?」

友「一枚一円で刷っても3000万円?」

僕「そんなもんじゃないだろな。億だぜ億。まぁそれよか問題は、こんなに紙使ったら無駄じゃんって意見」

友「確かに、もったいないかも」

僕「だろ?この内容、地球温暖化を止めよう的な話なわけだけど、こんなけ刷ったら余計、温暖化って話じゃん?」

友「んー、確かにー、微妙だな、なんかだめそうだな」

僕「たぶん…ダメだな、きっと。で、これ作った連中もそういうことはわかってたみたいで、対策を練ってるわけよ。なにしたと思う?」

友「んーリサイクルとか?再生紙にする?」

僕「あぁーその手もあるかもなぁ。それはそれとして、なんでもカーボンニュートラルってことをやってるらしい」

友「カーボンニュートラル?…炭素中立?炭素中間?」

僕「あぁそうそう、要はさ、これを作るときに排出された分の二酸化炭素を、どっかで植林して吸収しちゃえ的な作戦らしいぜ」

友「あぁープラマイゼロかだからニュートラル。なるほどね」

僕「な?納得だろ?」

友「でもさぁ植林する金はどうすんだ?」

僕「んぁー知らね。いっぱいお金あるんじゃね?そんなけあったらゴミ山3つくらいなんとかできそうだけどな」

友「億だもんな、億」

僕「でもまぁ仕方がねーよ。その人たちがやりたいことじゃないんだから、俺がやるよ」

友「またでかいこと言っちゃったな、お前」

僕「へへへ。まぁそれはさておき、一見納得できるカーボンニュートラルだけどマジで真剣にニュートラルかって話」

友「植林が足りないってか?」

僕「そうじゃなくて、紙いっぱい使うだろ?木が必要じゃん?木を切るじゃん?そこで暮らしてるやつらは今、困っちゃうんじゃね?」

友「どうかな。そうかも」

僕「んーここなんか言い表せないけど、有形の部分は確かにニュートラルなのはわかるけど、無形の部分で本当にニュートラルではないんじゃないかってことでそれがマイナスでもプラスでもそれは証明できないってこと」

友「んー30秒くれ、整理する」

僕「わかりんぐ」

友「・・・・・・・・・・・・・」

僕「・・・・・・・・・・・・・」

友「たとえばー、なんだ?」

僕「たとえばー、なんだ?」

友「おい」

僕「んー、まぁ違ったかな、なんつーんだろ、こっちで資源食いつぶしてもあっちで木を植えてればいいよって堂々と言ってるけどそれって言い訳じゃん?って思わない?」

友「まぁ資源も食いつぶさず木を植えるってのがベストだな、でもこの新聞のおかげで地球よくなるかもしれないじゃん」

僕「今、この瞬間、悪くなってるかもしれない、たとえ一瞬でも悪い瞬間はあってもいいか?微妙じゃね?」

友「だー、あぁ言えばこう言う」

僕「だってそうだろ?極端な話、紙作る、木を切る、砂漠になる、水がない、誰か死ぬってこともあるかもしれないじゃん、人の命はどうやってニュートラルにするわけ?」

友「鋼の錬金術師か?」

僕「ちげーよ、なんとなくニュアンス分かるだろ?分かれよ」

友「んまぁニュアンスはね」

僕「要はカーボンニュートラルってすげぇうまい逃げるための専門用語だって感じたわけよ」

友「やっぱ最終的に批判するのか」

僕「ん?まってまって、このカーボンニュートラルの話から俺はさ、言い訳してもいいんだって思えてさ、自分はいろんなもんを食いつぶして生きてても、どっかで木を植えてけばいいんだなって」

友「んー」

僕「今まで自分のやってることは自己満足とかさ思ってたけどさ、こういう自己満足もこう社会に受け入れられはじめてんだなって思ったわけよ」

友「あー」

僕「これ配るのに参加した人たちってすげーいっぱいいるしさ、どっかの専門家がカーボンニュートラルって言葉作ってくれたわけじゃん?ラッキーだぜ?俺にとって」

友「ボランティア=自己満足ってのが社会に許容されたと?」

僕「まぁそうやな。批判されにくいってことかな。やりやすくなった気がする。ボランティア=自己満足は俺の永遠のジレンマだ」

友「別にお前のことはだれにも批判させないって」

僕「お前かっこいいじゃん。で、やっとお前の話じゃん。生きてる意味ねーとかいってるけどどっかで木を植えたらいいじゃん。こんなにやりやすい社会になったんだしさ」

友「だ・か・ら、お前はいいよ?できるから。俺はお前みたいにできないって」

僕「だ・か・ら、お前はもうすでに木を植えてるじゃんって話。マイはしを持つとか以前に」

友「は?」

僕「いつか俺がお前の分まで木を植えてやるって、でもさ、お前がいないとがんばれねーわ、二人分も。だってストレスフルじゃんこの世の中。だれが俺の愚痴聞いてくれるわけ?だから、死んでもらったら困るぜ?お前が生きてたら俺がんばって三人分木を植えちゃうかもしれないわ。そしたらお前生きてる意味あるじゃん」

友「・・・・・・・・・」

僕「な?意味あるだろ?お前って」

友「でもそれお前に頼りすぎじゃね?」

僕「つかまぁひとりよがりかもな、でも俺だってお前に頼りまくりじゃん。誰にも批判させねぇって言ったじゃん、さっき」

友「まぁ…なぁ…つかこの会話、キモくね?」

僕「…友情?青春?」

友「青春は中学までだろ」

僕「それ思春期じゃね?」