船は
美しい海の上をすすむ。
その船底の一枚の板
波と
豊漁のときの
お魚の群れ
それは
レーダーだけではわからない
不思議な
出会いもある。
いわし漁でも
なぜか
船によって、同じ海域でも
すこしちがうだけで、大漁と不漁がおこったり
まるで
運と不運とを
わける
鍵がある。
それを
勘というのか
運というのか
日ごろの行いというのか
引き寄せというのか
でもわかっている人には
なにが結果をもたらすか、明確に押さえている。
船乗りたちが
船の航海の安全を祈って
海の神に祈る日
祈り方もある
日ごろの
こころがまえというか
純粋さというか
率直さというか
正直というか
まっすぐ、雑念をいれずに
そのことだけを
しっかりと考える。
そしてこつこつと働く
命がけ
という言葉がある。
どんな職業でも、多少はそういう性質をもつし
たぶん
働くときにはしっかりとした心構えも必要だが
漁業は特にそうで
自然の脅威がいつも隣にある。
嵐もあるし
拿捕もあるし
あぶない海域もあるし
海賊もでるし
突然頭の上から
何か飛んでこないとも限らない
なかなか荒ぶる世界である。
よい天気の日でも
魚が跳ねていても
荒ぶる力と力との勝負だったりもする
だから
漁師の人には感謝している。
本当に
ありがとう。
いろいろ
いわし御殿や
さんま御殿や
すてきな御殿があるけれど、
豊漁も
神様からの贈り物
恵比寿さま
住吉様
日本の海の神様たち
いわし・鰯・イワシは俳句の世界の季語
物語がたくさんある
加藤楸邨の有名な句には
鰯雲
人に告ぐべき
ことならず
なかなか、日本的
日本のやせがまんの美学
このイワシ・鰯・いわし
が
すきだったのは
山頭火
「うまかった、うますぎだった」
「鰯、鰯、鰯ほどやすくてうまい魚はない、感謝する」
鰯さいても誕生日
放浪日記には
いわしを食した記事が良く出てくる。
鰯が本当に好きだった。
食べ物に感謝して食べられるのは
いつも思うが
ほんとうにすごいことで
なかなかこう正直、率直に
いわし、いわしと
いわし賛歌を歌えない。
学ぶべきことが沢山ありそうだ。
感謝する分だけ
美味しくなるような気もする。
明治生まれの
放浪の俳人、
曹洞宗の僧侶でもあった
種田山頭火は
美食家でもあった
「分け入っても分け入っても青い山」
自由律の俳句をよくした。
巨匠
早稲田大学中退のインテリで
孤独で不遇で
なかなか厳しい一生だったが
まっすぐだ。
なぜかいまでもその俳句や人柄を慕う人は多い。
うそ偽りのない生き方
放浪の俳人
旅をするのは西行の勧進の旅や
芭蕉の日々旅にして旅をすみかとする生き方
さすらいにも
夢や
ロマン
清らかさ
クリエイティブな面はたくさんある。
日常を離れて、新鮮な気分を味わうには
旅が
一番効果的だ
私たちは
正直であろうとするが
自我やプライドやいろいろなものが邪魔をして
なかなか素直には表現できない。
山頭火はそこがすぐれている。
さて、
いわしは名前が変わる
いわしの赤ちゃんは
しらす
しらす丼は
江の島名物
ヘルシー感満載だから
人気がある。
大葉としらすのパスタとか
いかにも仲良しユニットでいっしょに食べそうな
愛されメニューだが、
実は
いわしにちなんだ
ラブコメディーがある
三島由紀夫
『鰯売恋曳網』いわしうりこいのひきあみ
こちらは
ファルス
で
ナンセンス
昭和29年初演の歌舞伎の人気演目
本当に面白い。
The Sardine Seller's Net of Love
遊女に一目ぼれした鰯売りが
大名にばけて
廓にいく
という物語
ハッピーエンド
健康な笑いに満ちている。
三島由紀夫は
その衝撃的すぎる最期が喧伝されたために
評価が偏るきらいがあるが
若いころには
明るいバッドジョークを飛ばすような
いかにもお育ちの良い
好青年の側面しかない。
暗い面と明るい面
どちらが
本当の本人なのか
一つの長い軸を
右にいくか
左にいくか
おそらく
negativeとポジティブは
そういった関係で、
気を付けていないと
ずんと傾いてしまう。
おそらく
彼の自死の瞬間だけで
彼の一生をかたるのは
間違いのような気がする。
一瞬一瞬の
いま
このときの
つみかさねが人生だ
フランスでも
三島由紀夫は日本展などの催しでは
絶大なる人気を誇る
金閣寺の
ドイツ語オペラ版まで存在して
パリのストラスブールでおこなわれ
狭い劇場は
大入り満員で
宮本亜門氏が2018年に演出したが
それをまた日本で
凱旋公演した。
お魚のように
すいすいと
生きていたその時代の
一瞬一瞬をこめた
その作品が
自由に海をわたっていって
時をこえて
遠くまで、その思想や表現が波及していく。
国は離れていても
潜在意識が
共通につながっている
そして
またお魚のようにもどってきて
文学の華があちらこちらで咲いていく。
風に帆をはらませ進むヨット
三島由紀夫にとって
「海」は
非常に深い意味をもつ
世界の海を渡りながら、
日本の
こうした遺産
小さな宝物から
おおきな宝物まで
その価値が
本当の意味で伝わると
それは本当に嬉しいことだ。
四方を海に囲まれているからこその
日本の
独特の世界観
もうひとつの開かれた扉がここにある。
今日もありがとうございます。
人が街に増えて、
あらためて
人と人とのつながりの大切さを思います。
月曜日
では前にすすんでいきましょう。
イワシ好き?嫌い?
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