今から十数年前、フランスが観光で成功していたとき、いつも不思議に思っていた。

なぜ憧れのフランスでは、バカンスができるのに、日本は違うのかと。

 

確かにパリは美しかった。貴族的な装飾の伝統的な建築物、アカデミックな雰囲気、美味しく洒落たフランス料理、すべてにエスプリがあった。

エッフェル塔、凱旋門、パリのノートルダム大聖堂、ルーブル美術館。歴史的建造物と新しい感覚が融和している雰囲気であった。

 

その後、フランスは対外的な事情によって爆撃があり、テロが多発した。

宗教上の問題も絡んで、状況は混迷した。波及効果でテロは、世界中で起こった。

第25代マクロン大統領、この若い大統領に未来を託したが、学生や若者のデモなどが続いて、フランスは混迷した。若くて美男なアーミーが、陽気に市民を守る姿があった。

厳戒態勢、というよりは、国を愛する者が、国を守るという風である。

 

ニューヨークに贈られた自由の女神。パリが象徴するのは、自由と愛。

 

伝統的には、カトリックの国でもあり、こちらには別の形の愛も寛容もある。

ノートルダム大聖堂。

世界遺産にも指定されたこの美しいステンドグラスの嵌められた建築様式は、伝統的な祈りと神への愛と威厳を示していた。

 

ところが、2019年4月15日18:30ころ(現地)、

その人々の魂の拠り所ともいうべきノートルダム大聖堂が火災になった。いかばかり衝撃は大きかろう。

 

世界各国から支援の手が差し伸べられている。

 

立て直すには、人々のこころの集結が必要である。

東日本大震災の時に日本への祈りをささげてくれた場所でもある。

大富豪たちの桁違いの寄付もありがたいが、日々の祈りをささげる人のこころも大切である。

祈りのうちに、光あふれるノートルダム大聖堂がこころのうちにできれば、大聖堂の再建も可能だろうと、そんなことをふと思った。

 

喪われたものは大きい。焼失してしまったものは二度と戻らない。

しかしそんなところにとどまってはいけない。

 

パリのノートルダム大聖堂が再建され、パリがまた自由と愛の国として繁栄することを心から祈る。