マリリン・モンローは
「あたしは根無し草。醜い人間で、みんなが優しくしてくれるのは、お金儲けの道具に使えそうなときだけ」
心を病んで、最後は睡眠薬で自殺されたとされています。
世界中の人々が彼女の美しさに憧れ、愛したであろうに、彼女自身はそれを確認することができなかったようです。
誇りを持って最期まで生きるのに、過去の実績、富や名誉は関係ないのです。
誇りを持って生きている人には、死ぬ時まで気品を感じます。
女性の患者さんが入院してきました。
肺がんの末期です。
呼吸をするのがやっとの彼女は、体力的に自分でご飯を食べることができませんでした。
食事介助を、朝夕は看護師が、昼は家族が行いました。
介助をするたびに
「ありがとう」
「手伝ってもらって申し訳ないけど、若い人とご飯を一緒にできてうれしいわ」
「一人で食べるごはんは味気ないものね」
彼女はずっと小学校の先生をしていたようです。
子どもたちの模範となる生き方をずっとしてきたのでしょう。
死ぬ時も模範となるようにしていたのかもしれません。
病気も死も受け入れていました。
文句を言ったり、泣き言は一切言いませんでした。
そうした態度は自分自身の品格を下げてしまうと思ってらっしゃるようでした。
他人への気遣い、そして感謝を忘れませんでした。
「延命治療は望みません」
「ただ苦しいのだけを取ってください」
凛として自分の意見も述べていました。
だから食事が食べられなくなっても、苦しみを取るだけの点滴をしただけでそれ以外の治療はしませんでした。
最後は穏やかに眠るようになくなりました。
亡くなった時間も、深夜3時ごろ。
夜勤のスタッフが、一番落ち着いて仕事をしている時間です。
こんなとこまで、こちらを気遣ってくださったのかと胸が熱くなりました。
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