生命欲がなくなった生命の終わり―後悔しない人生 | 看取り看護師めぐ〜死ぬとは最期まで生きること

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来週が65歳の誕生日だった患者さん

 

私は言いました。

「もうすぐお誕生日ですね」

「お誕生日おめでとうございます」

「生きてきてくれてありがとう」

 

すると患者さんは

「ケーキも食べられない誕生日なんていらない」

 

そうはっきり言いました。

 

患者さんは、嚥下障害でしばらく食事をしていなく、点滴をしていました。

検査をしていないので原因ははっきりしていませんが、1週間前に意識を失ってしばらく昏睡状態でした。

つい先日意識を取り戻し、でも食事はとれない状態が続いていました。

 

食欲があるって「生きたい」っていうこと。

食欲を満たされない状態が続くと食欲はなくなり、生きたいと思う気持ちもなくなります。

生命力ではなく、生きたいという「生命欲」がなくなった人は死を早めてしまうのかもしれません。

 

「ケーキも食べられない誕生日なんていらない」

 

そう言って30分もしないうちに患者さんは急変し、息を引き取られました。

 

死に方に良いも悪いもない。

 

事実は、患者さんが死んだということ。

でも真実は、生命欲を失ったから生命が終わったということなのかもしれません。

 

そして、その生命欲を奪ってしまったのは私たち医療者だったのかもしれない・・・・・

そんな思いが駆け巡ります。

心にぽっかり穴が開いた気分・・・・・