終末期に過剰な水分はいらない | 看取り看護師めぐ〜死ぬとは最期まで生きること

看取り看護師めぐ〜死ぬとは最期まで生きること

どうか大切な人の最期を穏やかに看取れますように
どうかあなたが最期まで、笑って楽しく生きられますように
最期まで笑って楽しく過ごせる生き方をサポートしたいと奮闘中。

人は年をとると省エネモードになります。

だからエネルギーを要さなくなります。

終末期になれば、それこそ600キロカロリーくらいで生きていけます。

しかし、無理やり1500キロカロリーを点滴や経管栄養(胃瘻)で入れ続ければ、身体はそのカロリーで生きようと頑張ります。

その代り、あふれかえった水で心不全、肺水腫となり、たくさんの痰となって身体から出そうとします。

呼吸が苦しくなり、痰が絡むので頻回に吸引します。

過剰な栄養と水分を注入する医療行為が、まもなく旅立とうとする患者さんをどれだけ苦しめているか・・・・・


でも、終末期の看取りに力を入れている先生もいます。

兵庫の長尾先生もその一人です。
リンク先の記事も見てみてください。

余命数日だと判断した時から、注入量を減らし「しぼる」
半分、3分の1、ゼロといったようにじょじょに人工栄養を少なくしていきます。
そうやって「しぼる」と枯れたようになり、患者さんはラクに最期の瞬間を迎えられ、そういった患者さんの死に顔はとても平穏です。

と述べています。


私が働いている病院ではあきらかな「しぼる」ということはしませんが、最期は皮下点滴にすることが多いです。

皮下点滴とは皮下に針をさし直接血管に水分を入れるのではなくて、皮下に水分を入れて徐々に吸収させていこうというものです。


皮下点滴ではそんなに水分を入れることができないので、患者さんは徐々に脱水状態になっていきます。

すると脳内から快楽物質がでて、本当に穏やかに眠った状態が続いていきます。

そして静かに息をひきとるのです。

皮下点滴にしたら、数日で亡くなることが多いですが、すでにこと切れている状態をむりやり伸ばしている命です。

本来の状態に少しずつもどしていってるだけなのです。


終末期は身体が省エネモードになります。

食べないから死ぬのではなくて、死ぬから食べれなくなるのです。

死にゆく人の旅立ちがラクなものであるように援助するのが理想ですが、むしろ困難にしているのが多くの現状です・・・・・。







~2016年8月30日追記~

3年前の記事が、いろんなところで話題になっててびっくりです。
でもいのちについて向き合ってくれることは、とてもうれしいことです。

もちろん私の意見に反対の人もいるでしょう。
人生には正解も不正解もなく、ただ考え続けることこそが人生の真実だと思います。

あなたがあなたなりの答えを見つけてくださると、私がブログを書いている意味がありとてもうれしいです。


どうか、大切な人の最期を穏やかに見送れますように
どうか、最期まで笑って楽しく過ごせますように


読んでくださり、ありがとうございました。


後閑愛実