元気な人、まだまだ生きる人には脱水は命にかかわるため注意が必要です。
しかし、すでにがんや老衰で終末期になりこれから平穏な死に向かおうという場合は、脱水は悪いことばかりではありません。
身体が弱ってくると、生きるのに必要な栄養や水分がうまくとれなくなるため、脱水症状をおこし、体全体が省エネモードになります。
そして、意識がふわふわしてきます。
終末期の脱水症状は決して苦しいものではありません。
病院では食べなければ死んでしまうと言って点滴で栄養を補給しようとします。
たしかにそれで何日かは延命が出来るでしょう。
しかし、しょせんあちこち臓器がダメになっているのだから、穴のあいたバケツに水を入れるようなもの。
代謝も不完全だから、全身がパンパンにむくんだり黄疸が出たりします。
胸水も溜まるので、余計な水を出そうとたくさん痰がでてきて呼吸がくるしくなります。
心臓に負担がかかって心不全になります。
それに血管がもろくなっているから、なかなか点滴が入らなくなります。
毎日、毎日繰り返される点滴のための針刺し。
ぶすぶすぶすぶす、ぶすぶすぶすぶす・・・・・・・・・
患者さんの身体は針を刺された無数のあとだらけ(T_T)
本当に苦しいことだらけ・・・・・・。
悲しいことに、治療すれば治療するほど、患者さんの顔や身体はむごいものになっていくのです。
食べないから死ぬんじゃないんです!
死ぬから食べられなくなるんです!
死ぬことを邪魔させないで・・・・・・・。
「患者さんを苦しませている」
「私の手は汚れている。」
そんなふうに思うこともよくあります。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
本当に苦しませて、ごめんなさい・・・・・・。
私たち看取る側に本当に必要なものは、省エネモードを見守る勇気です。