うちの父親は地元の猟友会に所属し、狩猟免許を持っています。猟銃の所持許可もあるので、当然うちには猟銃が保管してあります。
炭酸ガスの力で5ミリほどのつづみ弾を発射する単発の中折れ式ガス銃と装弾数三発の半自動散弾銃のふたつがあります。
ガス銃はカラスや鴨、キジなどを撃つのに使いますが、うちでは動作チェック以外で発砲する機会はまずありません。つまり使ってないのです。
主役はもっぱら散弾銃で、イノシシを撃つのに使います。

ちなみにイタリアのベレッタ製で、こんな感じです。$たかいところ

口径は12番と呼ばれる最も普及しているサイズで、直径で約18ミリあります。
散弾銃というと一般には読んで字の如く『散弾』を発射するイメージが強いでしょうが、『散弾』は動きの速い小さな標的に対して使うものです。具体的に言うと、キジバトやカモなどの水鳥が主な標的となります。
現在の日本では、そういったレジャーとしての狩猟を行う人はほとんどおらず、害獣駆除としての狩猟が一般的です。そして、その主な標的は、イノシシです。
イノシシ相手に直径数ミリほどの散弾では皮膚を破るのがせいぜいで、話になりません。
三粒ないし六粒の大型の散弾を発射する『三粒弾(さんりゅうだん)』『六粒弾(ろくりゅうだん)』を使う人もいらっしゃいますが、主流は親指の先ほどもある一発弾『スラッグ弾』です。うちの父親ももっぱら『スラッグ弾』のみ使用しています。
父親が猟友会に入った際に弾ごめの方法として、初弾『三粒弾』で動きを止めてから、二発目『スラッグ弾』でトドメを差す。万が一外した時の自衛の為に三発目は『三粒弾』にすると良い、と教わったらしいのですが、現在は三発とも『スラッグ弾』だそうです。
この『スラッグ弾』の威力たるや、凄まじいものです。罠にかかったイノシシに至近距離からトドメに放った弾は額に命中した後、胴体を貫通して、後ろ足付け根の骨に当たって止まっているのを解体中に見つけたことがありますし、20メートルほど離れて撃った弾が首を貫通していたこともあります。
頭蓋骨に当たっている場合、穴が開いているだけでは済まず、ほとんどの場合は砕けています。
この『スラッグ弾』は軍や警察でも使用されていて、アメリカでは特に『マスターキー』と呼ばれていて突入などの際、ドアノブやロックの破壊に使われているそうですが、そういった威力を見てきたので納得です。