かつて俺は、漫画家に憧れていた。探偵小説を漫画として書きたいと思っていた。
それまで手塚治虫作品のヒゲオヤジや破裏拳ポリマーの車錠や名探偵カゲマンなど、漫画の中に探偵が登場する事はあっても本格的な推理ものはなかった。
(少なくとも俺にはそういう認識ではあった。)
そこで名探偵をテーマにした作品を幾つかネット小説として書いた。
その1つが、横溝正史の生み出した名探偵金田一耕助シリーズをテーマにした、『金田一少年の事件簿』だ。
実はそれまでろくすっぽ金田一耕助シリーズを読んだことがなかった。
何しろ昭和初期の文章だ。読むだけで頭が痛くなる。
実際に買ったり借りてきて読んでみたが、ストーリーが全く頭に入ってこない。
TVでやっていた金田一耕助ドラマや映画も見まくったが、かなり分かりやすくなってはいたが細かなとこがいまいちわからん。
そこでネットの纏めや、推理小説のトリック集と言ったものを利用させてもらった。
この作品の中のトリックは図書館で借りてきたり、書店やBOOK・OFFで買い集めてきた資料のトリックをノートに書き写しロジックを解析し、色々組み合わせを変えて毎回苦労の末書き上げたものだ。
......と言っても、1からトリックを作っていく歴々の商業作家の方々の御苦労に較べれば楽なものではあるが。基本パクリだし。
この作品はいつの間にか漫画化され、アニメ化もドラマ化もされた。もちろん剽窃なので、俺には一銭も入ってない。
その後も、『金田一少年の事件簿R』や『金田一二三の事件簿』、『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』『金田一37歳の事件簿』などを続々書いて次々と剽窃されていった。
ちなみに犯人達や37歳等は、金田一少年のドラマを見ながらかなり後に書いたものだが、それ以前のスピンオフ作品については殆ど初期漫画の連載を読みつつに書いたものだ。
もちろんこれらは覚えてるのだけを列記しただけで、他にもあったかもしれない。