★★☆☆☆

 

中田秀夫監督、飛鳥凛主演『ホワイトリリー』を観てきた。

ロマンポルノ・リブート・プロジェクトの一本。

 

『風に濡れた女』以外の作品はすべて観たが、この作品がいちばんしっかりした作りになっていた。

『ジムノペディに乱れる』も『牝猫たち』もインディーズ色が強く自主制作映画のような感じだった。(本来、ロマンポルノというのはそういうものなのかもしれないが)

 

冒頭のシーンで、酔っぱらった先生(山口香緒里)がはるか(飛鳥凛)に背中のファスナーを上げるように頼む。

はるかは陶芸をしており、両手が汚れていたため、口を使ってファスナーを上げる。

このシーンが本作で最も官能的で美しいシーンだったと思う。ヌードになっていないにもかかわらず、いちばん興奮させられた。

 

それに比べると他のシーンは、これ以上に映画的な感動を呼び起こすものではなかったといえる。

 

飛鳥凛は出し惜しみなく脱いでいたと思うが、不思議とエロくない。

唯一、エロいと感じられたのは、これもまた冒頭付近だが、先生のセックスを隣の部屋で聴きながら、マスターベーションをするシーン。

体育座りをしながら白いパンツをまさぐるのだが、結構なアップになって、なかなかエロい。

 

この映画、レズを題材にはしているが、いわゆるレズ映画ではない。あくまでポルノの題材としてレズが使われているだけで、セクシャルマイノリティの性愛を描いたものではない。

 

しかし、ラストシーンで、今まで自ら先生に支配されることを望んでいたはるかが、先生に「私を気持ちよくさせてください」と言って奉仕させ、セックスをしたあと、引き留める先生をあとに、ひとり旅立っていくところなどは、同じくレズの恋愛を描いた『過激派オペラ』と同様の結末となっていて、面白い。

 

ロマンポルノ・リブート・プロジェクトの総括としては、身も蓋もないことを言うが、やはり良い映画を作ろうとするならば、お金と時間と良い役者を揃えなければダメだということだ。

 

私が鑑賞した4作品の主演女優は、誰もみな演技力に難を抱えていた。

いくら身体を張ったといっても、清野菜名や門脇麦、二階堂ふみや吉永淳のように実力のある女優に脱がれたら太刀打ちできない。

 

脱げる女優を探すのではなく、いい女優を脱がすというくらいの大林宣彦精神が必要だろう。

 

もし第二弾があるとするならば、黒澤清か山下敦弘、入江悠、女性監督なら、河瀬直美、西川美和の作品を観てみたい。